字書きな私
漫画を描く人を「絵描き」と呼ぶのに擬えて、小説を書く人を「字書き」と呼ぶらしいと知ってから長く、使っている。
が、「字書き」と聞いてどれくらいの人がピンと来るのだろう?
今日はそんな「字書き」に、私がなった過去を綴りたい。
私が文章を書くのに初めて没頭したのは、小学生高学年の時。
その頃、地獄のような家庭環境のために、学校が私にとって唯一の安息の地だった。
うちの小学校は6年間で2年ずつ3回のクラス替えがあったが、最後のクラスがまた大好きだった。
新任でサバサバした性格ながらも美人で人気のあった担任の先生と、いじめがない、作ってもらった給食を残さないようにとみんなで協力して食べ切るような気持ちのいいクラスメイトたち。
家族を嫌いになっていくにつれて、私はそんなクラスに逃げ場所を求めた。
個性的でクリエイティブなメンバーが多かったんだと思う。
クラスの男子たちは漫画が好きなあまりに、彼らが描いたお手製の漫画本が教室の本棚に並んだ。
内容は好きな漫画に影響されたのがモロバレな内容ばかりだったけれど、それがまた面白くて、新作が出るたびにクラスほぼ全員が回して読んでいたと思う。
それに影響されて、小説を書いたのがたぶん最初だった。
今も昔も私はオカルトが大好きで、休憩時間に友達に頼まれてはよく怖い話をしていた。
幽霊、妖怪、占い、学校の七不思議(もうオカルトブームは下火になっていたけど、だからこそみんなあまり知らなくて興味津々だった)etc…
それはもう先生の折り紙付で、ホームルームで時間が余ると、リクエストをもらって壇上でクラス全員を前に怖い話をしていたくらいだったのだ。
自分の絵に自信がなかったので小説で創作をした。怖い話が人気だったので、小説もオカルト系に。しかも、登場人物はクラスメイトたちをモデルにしてみたところ、これがものすごくウケた。
名前を微妙に変えて、もちろん見た目や雰囲気も本人に似させて、
挿絵は絵が上手い親友に描いてもらって付けた。
全員登場させたくて、3巻くらいまで書いた気がする。(多分最終巻はほとんど飽きてしまって未完だったかも。笑)
だからオンザロードを書いたケルアックの気持ちがわかる気がしているのはここだけの話…
子どもの見様見真似だったけど、初めて小説を書いて、それがたくさんの人に読んでもらえるあの感動を味わった。
すごく、すごくすごく嬉しかった。
それから同人活動で何冊か二次創作も書いた。
長編はあまり書かなかった。
いつも書くのは短編。謂わばショート・ショート。
完全に星さんの影響だ。笑
中学に上がって、すっかり思春期に入り変わってしまった友達たちと、母からの虐待が悪化してうつ状態になった私がいじめを受けるようになっても、
私はインターネットの世界で文章を書き続けた。
中学生にして、一丁前にブロガー気取りで毎日更新を続けていた。
一番頑張っていた時は、1日2つか3つの記事は必ず書いて、当時のWEBで1日500PVぐらい稼いでいたから本当に、現実逃避ぶりがよくわかる。
リアルの世界では誰にも話せないこと、本当は声を大にして言いたかったことをひたすら書いていた。
自分なりにポジティブに、読んでもらえるように工夫して、発信し続けていた。
同学年の子達と気が合わなくても、ネットで知り合った人たちとチャットしたり、スカイプで話したり、配信したりしてあの頃の私は救われていた。
そのおかげで、今の私があるんだと思う。
だから今でもネットは大好きだし、ブログにとって代わって使い出したTwitterも更新を続けている。
当時の私に感謝だ。
今はリアルでも話を聞いてくれる人や仲間・友達ができたけど、ネットの深さやそのなんでも受け入れてくれる独特の温かみを、私は忘れない。
メールは返信が来るからバレてしまっても、ネットでの交流はログアウトして履歴を消してしまえば干渉を受けることもなかったから。
私にとって字書きであることは、発信者であること。
そしてまた本を書きたい、と思い始めた今日この頃なのでした。