恋愛感情を手放したら楽になった話

 私は恋愛がしたいノンセクだ。いつかどこかでノンセクを受け入れてくれる人と出会って、恋愛がしたい。その願いをずっと持ち続けて来た。けれど、私はノンセクを受け入れてくれる人だと信じていた人に、手ひどく裏切られ、食べ物の味がなくなり、人を信じられなくなった。その経験から、もう恋愛をするのはやめたい、手放したいと思うようになった。

 裏切りから二年経ってやっと気持ちが落ち着いた私は、友情結婚の相談所に入会することにした。そのときも私は頭のどこかで、恋愛がしたい、誰かを好きになりたい、誰かに自分を受け入れて欲しいと思っていた。結婚相談所に行くまで、恋愛感情を手放すことはできないと思っていた。

 ところが、私は結婚相談所の人にこう言っていた。「もう、恋愛とかそういうのと離れたところでパートナーを探したいんです」気が付くと、私の口からこういう言葉が出ていた。

 恋愛感情を忘れたい。思い切ってそうしてみた。いつもいつも、好きな人ができては苦しんできた。恋愛は、私がする必要がないものだ。けれど、信頼とか家族の情に近いものを感じる人は現れるかもしれない。そういう方向に考え方を変えないといけないとわかっていた。

 家族のようになれる人に出会いたいと思っていたときに、私は彼と出会った。なんとなく空気感が私と会う気がして、長時間一緒にいても疲れない稀有な存在だった。そして、お互いに一人の時間を大切にしたいことも一致していた。

 おそらくこの機会を逃したら、もう生涯、パートナーを作らないだろうと思っていることも何もかも一緒だった。恋愛感情の好きは求めない、それでも信頼できる人が欲しい、恋愛ではないけれど、特別な存在が欲しいという見解も一緒だった。

 二人で初めて行った旅行で、夜眠れず、今までの人生のことを語り明かした。誰にも話していないことも気が付くと話していた。

 彼には恋愛的な好きという感情は持っていない。あんなに膨れ上がっていた恋愛したい気持ちも、人を好きになりたい気持ちも全てどうでも良くなっていた。彼も私を好きではないのは知っているけれど、そんなことは些細なことだった。

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