【漫画感想】『思い思われふりふられ』天然男子乾くんの言葉にみる寛容さの価値観
こんにちは😃
『誰もが自分らしくいられる居場所を作りたい』と常々思っていて、今まで色々な企画や場づくりをやってきました。
その中で大事なのは、『相手の存在を否定せず認めること』イコール「寛容さ」だと考えていて、そんな価値観を体現するようなものに惹かれます。
そして、このたびそんな「寛容」の価値観を体現するような素敵な漫画のキャラクターに出会いましたので、ぜひご紹介したいと思います。
それは、咲坂伊緒先生による『思い、思われ、ふり、ふられ』という漫画に出てくる乾和臣くんというキャラクター。(左上の黒髪の男の子です)
『思い、思われ、ふり、ふられ』は、別冊マーガレットで連載されて、すでに完結した作品で、単行本も全12巻まででています。
※恋愛に対して異なる価値観を持つ2人の女の子のストーリーです。
今年は、アニメと実写の両方で映画化しており、コロナの影響でアニメは公開延期(追記:実写は、8月14日公開が決定!!)とはなっておりますが、公開されたらぜひ観に行きたいと思っております。
なお、詳しいあらすじと登場人物については、こちらのサイトに詳しく載っていますので、ぜひご参照ください。
その作品の登場人物の一人の乾くんは、普通の男子高校生ですが、相手がドキッとする言葉をまったく無意識でサラッと言ってしまう、いわば『天然タラシ系男子』です。
ただ、天然とはいえ、物語をちゃんと読めば、乾くんの言葉は決して軽薄なチャラいものでなく、相手を認める寛容さがあってこそのものだと感じさせてくれます。
そんな乾くんの言葉を紹介しながら彼の魅力を伝えていきたいと思います。
相手を良いところを認める言葉①
最初に第1巻の第2話のシーン。主人公の一人である山本朱里ちゃんが友人の由奈ちゃん(こちらも同じく主人公)が自信がないことについて心配して、由奈ちゃんはとても良い子なんだと乾くんに力説する朱里ちゃんに対して
『そういうふうに言える山本さんも、すごいいい子だと思う。』と乾くん。
ここで、朱里ちゃんは、
『乾くんは私の事を知らないだけだよー。私別にいい子じゃないし(笑)』と、ちょっと否定気味に返します。
が、乾くんは、
『なんでそんな事いうの。これからもっともっと山本さんの事を知っていっても、俺のジャッジ変わんないと思うから大丈夫だよ』
と自信を持って相手を良い子だと断言するすごいセリフをサラッと言います。
ここまで乾くんが言えるのも、過去に朱里ちゃんのとある行動を見ていたからなのですが、それはネタバレになるので、ここでは控えておきます。
相手を認める言葉②
今度は、第1巻の第4話の朱里ちゃんが彼氏に振られて泣いた理由を乾くんに吐露するシーン。
朱里ちゃんは、悲しくて泣いただけでなく、彼氏に好かれている自信があったのに突然振られたため、ゴーマンな自分が恥ずかしくて泣いたのだということを乾くんに打ち明けます。
朱里ちゃん『乾くんが前に私の事いい子って言ってくれたけど、私 やっぱりいい子じゃないんだよ』
それに対して、乾くん
『ホントにやな奴だったら自分のそういう部分は黙っているよ。(そういうことを言える)山本さんはちゃんといい子だよ』
相手が自己嫌悪に陥っているところに、相手のことを認めて、且つサラッといい子だと承認する言葉を言ってくれてます。
そして、直接的には描かれていませんが、そんな乾くんの姿勢に朱里ちゃんの傷心も少しずつ癒されていきます。
以上の二つの「相手を認める言葉」からみるに、大事なのは、相手の良いところを見てあげて、相手が自分を否定している時にすくい上げて受け止めてあげることだと思います。
これこそが相手の存在そのものをまずは認める、寛容さといえるのではないでしょうか。
相手の状況に寄り添う言葉①
続いて、第2巻第7話の朱里ちゃんの義理の弟である理央くんが、乾くんの家に遊びにいくシーン。
理央くんは、自分と朱里ちゃんが両親の再婚のため、本当の姉弟ではないと乾くんに打ち明けます。そのことで中学時代に周りから騒がれて、わーわーと言われた過去があるとのことも。
そのときに、乾くん
『だって、(義理の姉弟になったのは)別に理央たちのせいじゃないじゃん。それなのにわーわー言う奴なんてさ、ほっといていーよ、それ。ザコキャラだから』
と、いうことで、サラッと相手を救い出してくれる一言。
これですっかり理央くんも乾くんと打ち解けて、結果2人は親友となります。
この乾くんの言葉を、私は、その人がどんな状況に置かれたとしても、見るべきはその人自身であるべきで、決して周囲の状況や環境からその人自身を判断すべきではない、という人への包摂の気持ちの表れと受け止めました。
相手の状況に寄り添う言葉②
最後に、第2巻第8話の朱里ちゃんが家庭内で母親とギクシャクして、『ここではないどこか』へ行きたいとプチ家出をして、昔憧れていた友達のお兄さんに会いに行くシーン。
しかし、『外へ連れ出してくれそうな人に憧れていたが、結局それは家に不満がある自分の単なる現実逃避に過ぎなかった』と気づいた朱里ちゃん。自分が知らない世界に対しては、結局自分の都合よくしか見ていなかったと。
そんな家の問題に悩みを持つ朱里ちゃんに対して、乾くんの言葉。
『(家の問題とか)解決できない事もいっぱいあるよ。そしてらもう仕方ないって思うしかないじゃん』
『まー、それでもたまには、(家族からは)ごめんね、ありがとう、たすかるよ、とか言って欲しいよな。それだけでいいのにな』
と朱里ちゃんの気持ちに寄り添う一言。
ここで朱里ちゃんは、『(どうして、乾くんは、流れていってしまいそうな気持ちを、すくいあげてくれるんだろう)』
と乾くんを意識をするようになり、、😍😍😍
実は、乾くんも、家族の中で問題を抱えていて、家で我慢をしていることがあることが後々の話で明らかになります。
そのような乾くんだかこそ、朱里ちゃんの気持ちに寄り添えるのですが、そもそも相手の立場になって考えてあげるという優しさを持っていないと、このような一言も出てこないと思います。
このように、悩んでいる相手の気持ちに立ってあげることも寛容さの現れではないでしょうか。
以上は、単行本1巻、2巻から選りすぐった、私が乾くんから「寛容さ」の価値観を感じたセリフです。
ここから話は面白くなっていくので、気になる方はぜひ単行本『思い、思われ、ふり、ふられ』を読んでみてください。
ちなみに、単行本3巻の表紙は、乾くんと朱里ちゃんです。明らかに朱里ちゃんが乾くんを意識している感じが出てて可愛いですね。
『思い、思われ、ふり、ふられ』にて、ぜひ乾くんの寛容さに触れていただき癒されていただけれと思います😊