野菜の値段

今ひとつよくわからないのが、
野菜の値段。

というのは、たまに野菜を売って欲しい、と言われる
ことがあります。

本音を言うと、里芋や菊芋だったら、
畑の地中に埋まっているから、好きなだけ掘ってくれたらいい、
って思う。

というのは、なぜか野菜を売る、
というのは得意ではなく、
しっくりした値段の付け方がよくわからない。

要は農薬、耕運機、その他農機、ガソリン等の混合油を使わないから、
費用がかかっていない。

自然に対して価格付をするようで、
あまり好きではない。

ただ、相手も納得しないときや、
お願いされた時は、適当な値段をつけるか、
つけてもらうことにしている。

野菜は作っているけど、基本的に売らない、
ということにしています。

ただ、借りている場所によっては、
どうやら何か出荷等しているように
した方がいい場所があります。

多少は農業みたいなことをしておいた方がいいので、
有り余ったものだけ販売する、
というスタイルです。

参考に相場としてみるのが、
道の駅とメルカリ。

相場というのは、まぁ大体抵抗を
感じないお得感のある価格帯、っていうことです。

作業が追いつかない、無理があると
感じたらやめる。

農家で生きるという選択はないけど、
自然観察と植物の可能性に
目を向ける、その中で野菜栽培もする。


菜の花に集まるアブ
ヤマブキ、細くて下処理は大変ですが、
春の味覚です。
山の植物は、見ていて飽きることがない。

食べ物を買うから、作るに移ってきているので、菜園に行くことは、健康を
買っているとも言える。

また、向かう途中の山道、
見慣れない植物についひかれてしまう。

強いて言えば、楽しさの恩恵を受けているとも言える。

ただ、代償は払っていないと
思っている。

種などを買う費用は多少あるけど、
大きな費用は払っていない。

値段がつけにくいから、考えずに相場だけを頼りにしています。

先日、道の駅に行き、りんごを
見かけました。

どうやら減農薬でわずか7回しか
農薬散布をしていない、という。

この時点でどう思うか、で分かれますが、私の場合は疑問が生じる。

じゃ普通のりんごって、そんなに農薬を使ってできているのか、
軽く10回超える、ってことです。

その減農薬で7回、ということが自慢できることなのかどうか。

実はかなり以前にヨーロッパ農家に
住まわせてもらっていたことが
あります。

ヨーロッパの国の中には、実は自生しているりんごの木があり、
場所によっては、自由にとってもいいところもある。

実は鈴なり、っていうんでしょうか、木にいっぱいりんごが実って、
下に落ちているくらいです。

色は薄茶色だったかと記憶していますが、後でわかったのは、完熟のもの。

甘酸っぱくて、とってもおいしかった。

りんごって、こんな素敵な味がするんだって人に聞いていたんですが、
至って普通だそうです。

そこの農家さんでは、
お菓子や発酵飲料(多分シードルだったと思います。りんごのビールみたいなのもものです。)や養蜂をしていて、
ハチミツのお酒を作っていました。

養蜂、といっても、日本の大手のように
巣箱を移動させて、大量生産させるような
ものではないです。

巣箱数個、でも蜂が元気で、
蜂を商売道具としてではなく、どこか、家族か知人のように
扱っている印象でした。

はちみつも、特定の花の蜜というわけではなく、
森のはちみつとしてやっていました。

様々な木々、花が山のなかにあるので、
蜂に自由に飛んでもらい、色は毎回違うそうです。

特に春は、アーモンドの花(桜とそっくりです。)にミツバチが集まり、
羽の音(ジーっていう音が響いている)が離れていても
聞こえるくらいです。

花粉やプロポリスが混じったもの、
色が濃いものから、薄めのもの、どれもとても
風味があって、おいしい。 また、値段がとても安かった。

月に何度か車で、
街に手作り品や農産物を売りに行っていました。

何度も一緒に連れて行って
もらったのですが、

地面に落ちた落ちたりんご、
かごに盛って売っていました。

一盛りで100円少しくらいで、
なんでこんな安いものを準備するんだ、って聞くと、

私はお酒で儲かってるから、
お菓子を作るにはこう言ったりんごがいい、みんな欲しがっている、と言われました。

なるほど、儲けとは考えず、
お礼かサービス精神みたいな
ものでした。

栽培しているとは思えないので、
おそらく自生しているりんごでした。

味は酸っぱめで
水分が多い。

日本で言えば、紅玉に

少しだけ近い感じのりんごでした。

ただ、色は茶色がかったもので
汚く見える。

ものによってはナメクジが
付いていたり。

ただ、アップルパイなどには、こういういわば掘り出し物のようなりんごがいいそうです。

そこの農家は、巨大なタンポポを引き抜いて盛って行ったり、

たった一人の来るか来ないかわからない人のために
用意する、

言わば今時少ない優しい
農家さんでした。

30cmくらいの巨大なタンポポを見て
「これ、誰も取りに来ないけど、どうすんだろう?」って思うこともありました。

(結局、夕方の取りに来られて、
結構な手間があったのに、わずか1ユーロ。

探して掘る手間はどうなんだろう、ってその時は思ってしまいました。)

さて、今思うのはそんなりんごは、
栽培して管理していたのかどうか。

りんごの栽培をしたこともないので
わからないですが、少なくともあのリンゴは美味しかった。

ふと思い出したのは、
久々に弓田さんの「失われし食と日本人の尊厳」という本を読み直していたら、りんごの話がありました。

弓田さんは、結構な毒舌です。
日本のあらゆる農産物を否定している。

人によっては気分が悪くなるかもしれない、って思います。

ただ、言われていることは事実そのもので、有吉佐和子さんの
複合汚染と話が重複する箇所が
出ています。

弓田さんはイルプルシュール ラ セーヌという洋菓子専門の方です。

ただ、イルプリュ シュールラ セーヌで
学んだ人がやっているお店でハズレはない、って昔関西に住んでいた時に思いました。

扱っている食材が本物で、
たとえば、ガトーショコラでも作る場合、
そこの材料でやれば、驚くほど美味しいガトーショコラができます。

私は洋菓子は挫折したのですが、
今でもあそこの素材だったら、間違いない、って強く思う。

もう一度、ガトーショコラを作る機会があるなら、
通販でこっそりと取り寄せると思う。

製菓用のチョコレート高いけど、
それに見合う味と喜びは後で
感じられます。

高いけど、値段相応、って思っています。
値段、誰が決めたのか知りませんが、
さすがです。

イルプリュの素材は、
技術少なくとも、
素材に任せるといい。

素材の力を信じる。
それだけで、とても美味しくガトーショコラは
できます。

さて、そんな素材を重視する洋菓子職人がどうして
他分野の食や農に語るのか、

って思っていました。速攻買って読んだ記憶があります。

戦後間もない頃から見てきたもの、
フランスで見たメロンやリンゴの話は
私が見たものと、全くの同感でした。

とてもいい味のするメロンが
100円くらいな訳です。でも、とても食べがいのある味でした。

要は日本のものは、価格が高く
農薬を使いすぎており、弓田さんがいうには、
味も全然ダメだという。

箱に入れて、まるで貴金属のように
扱うことの違和感の話もありました。

農薬の話も、時代が重なる有吉佐和子さんの複合汚染のものと
ほぼ同じです。小説家が説く話で、一般人にはわかりやすく
説明してくれています。

複合汚染では、りんごの話があって、
お菓子用の完熟りんごの
話がありました。

自然のままのりんご、
鈴なりで、日本の摘果などせず、
本来の美味しいりんごの
話が出ていました。

50年くらい前の話ですが、
きっと今でもそう変わってはいない。

かごに盛られた、完熟のりんご、
しかも安い。

それなら値段相応だと思うし、また味わってみたいと思う。


要は、自然のもので、
熟して痛みかけている、そのままだと、土に帰るだけ。

農薬も使うまでもなく、大きさが
まばらで熟したりんご。

でも、やっぱり見た目重視の日本社会だったら、ダメだろうなぁ、
って思います。 傷や汚れ、虫食いなんて結構気にする人がきっと多い。

本来のりんご、って食べたいと思う人がいても、見た目の色がダメなら、
受付ないかもしれない。

ただ味は本物で、
本当によかった。

フランスの人からしたら、日本の奇跡のりんごの一体何が「奇跡」なんだ、
ってきっというと思う。


まぁ、先の道の駅の減農薬が
嘘っぽいりんごに見えてくるわけで、こういった話や見てきたものを
思い出すと、
買い物かごに入れる気が
起こらないわけです。

なぜ農薬が、っていうと、
もともと兵器だったものを平和利用として、
農薬になったからです。

安全性が高い、という、よく聞けば安全かどうか確かわからないような
表現になっているので、信用できないわけです。

複合汚染は、極端にいうと、排気ガスを吸いながら、食品添加物を食べる。
シャンプーなどの化学物質で皮膚から多種多様な成分を取り入れ、
農薬のついた野菜を食べ続けている状態のことです。

様々なことが混ざっていて、複合で汚染している状態。
理由を一つに特定できないこと、また安全と言われていたものが、
急に安全ではなくなること、など述べられています。

50年くらい前の話ですが、当時予見されていた将来の病気の発生などのことを今と見比べると、当てはまることもあり、
ちょっと恐ろしい本とも言えます。

複合汚染を読むと、日本は農薬使用は世界トップクラス、という事実が
わかります。国産が安全という考えが、完全に消えてしまうくらいです。

減農薬、特別栽培、
安全性が高い、といった一見よさそうな感じであっても、
実際はどうか。

あやふやでわかりにくいことがあるので、
言葉や表現は、注意したいところです。

デパ地下などで見かける、一つ千円を超すようなリンゴは、
おそらく、相当な手間と農薬等の費用がかかっていると思う。

一方で、アップルパイ用の完熟リンゴは
フランスで一盛り100円くらい。

日本では、奇跡のリンゴ、ってありますが、
たぶんヨーロッパでば同じようなものは、大量にあると思うし、
見てきました。

要は、山で生えている野生のりんご、農薬どころか、
人が管理していない、肥料も、摘心もしていない、
実を落として、大型のリンゴにしようともしていない、
あるがままのもの、
訳あり品のように安く売られています。

手を加えていない、見た目がわるいから、
相応の値段。誰もが納得する値段なわけです。


奇跡のりんごが一ついくらするのか知らないですが、
もし値段が高いと変な感じがして、
お金があったとしても、買う気にもならないわけです。

りんごとは縁がないですが、
柿は毎年、山の柿を許可を得た上で、
取らせてもらっています。

大きさバラバラ、
黒ずみあり、
小さすぎるものあり、

要は使いにくいわけです。
でもいざ干し柿を作ってみると、とてもいい味。

熱湯消毒やアルコール消毒なしで
なぜかカビが生えなかった。


誰も管理していない、山の柿。
黒ずみなど、あります。

理由は不明ですが、環境がよいのか、
あるいは栽培されているものは、肥料や農薬等があるから
痛みやすいのか、

柿は干すときに熱湯に通したり、アルコールをスプレーで
かけないと、カビが生えるのかもしれない。

以前お土産で市販の干し柿を
少しいただいたことがありますが、
確かにきれいで、甘くて美味しい。

ただ、どこか懐かしい感じはしないし、
程よい甘さではなかった。

市販の大きな柿を干したことも
あるのですが、鳥やテン、その他野生動物にやられることが多かった。

理由は想像でしかないけど、おそらく、
大きくて甘く作られたものだからではないだろうか。

見かけない大きさで甘い。
だからテンがきたのかも。

大きくて立派な柿だったのは事実ですが、
夜中に1メートルくらいの大きなテンが来て、
食べているのを見たことがあります。

写真が見当たらないのですが、
一言で言えば、爪と牙をもった、別世界の怪物です。

外の柿を家に入れようとしたら、走ってきて
網戸に爪をたてて、飛び乗り、乗っかってくるくらい、
凶暴な感じでした。

ただ、ここ数年、山の柿を干していますが、
テンは来ていません。

人の手を加えたもの、ってどうしても
値段が上がってしまう。

値段はあるけど、本当に体に良いのか、
柿は〜という成分があって、体にいい、としても、

やっぱり複合汚染の話を思い出すと、農薬を多用した果物は
きっとよくない。

代謝のいい人なら、当面は大丈夫なのかもしれませんが、
体の小さな動物が日常たべて、大丈夫かどうか、
きっと安全の確定はできないと思う。

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