スキマスイッチ「A museMentally」-希望をもらった
私が愛聴しているFM COCOLOは、毎月「 Feature of the Month」として1アーティストをいわば月間特集する。
今月は、10枚目のアルバム「A museMentally」をリリースしたスキマスイッチ。
25周年イヤーでもあるらしい。
実はスキマスイッチは今まで「好きでも嫌いでもないアーティスト」だった。
耳障りのよい音楽をやる人たち、という印象で、名曲「奏」を知ってからもアルバムを聴いてみようと思う事はなかった。
それが今月、COCOLOで毎日スキマスイッチの曲を聴いていると、どの曲も良いのだ。
最初はニューアルバムからシングルカットされた「クライマル」が流れた。
私は大体の場合、午後の自由時間に手芸をしながらラジオを聴いているのだが、この曲が流れてきたときには作業の手が止まった。
イントロのギターがすごく好きな感じ!
ゆったりとしたテンポと相まって、なにかすごくあったかい感じ。
実は5月ごろからちょっとメンタルが不調気味だったのだったが、この曲が流れてきたときに心に澱んでいた霧が晴れていくような感じがしたのだ。
決して突き抜けた明るさの曲ではないのに、薄雲の向こうから差し込む光は限りなく暖かく明るい、みたいな。
そして、聴くほどに、歌詞まで聴きこむほどに、ああ、生きて行こう、最後まで希望を持って、と思えるようになった。
大袈裟な、と思う向きもあるだろうけど、還暦を越えた自分には、最近生きることに少し疲れを感じ始めていたのだ。
もう終わってもいいんじゃない?という、なんかもう疲れたなー、という。
だって、人生って最終地点がどこかわからずに歩く長い長い道、じゃない?
たどり着いて初めて「ああ、ここまでなのか」ってわかる。
若い頃は、そこに行くまでにいろいろあるなーってわかってるから、楽しみにしたり覚悟したり具体的な対策を考えたりっていう「準備する」っていう作業がある。
でもね、私はもう全部終わってるのね。
両親はあっちに逝き、子どもたちは独立し、夫は自分の世界をしっかり持ってる。
人付き合いに疲弊しながら頑張ってきた仕事も、もう頑張ってしなくてもよくなった。
最初は「ああ、全てから解放されたなー」って思っていたし、それは今も思っているけど、3年ぐらいその暮らしをしていたら満足しちゃった。
もうこれ以上生きて行くことに意味が感じられなくなっちゃって「もういいよ」という気持ちになっちゃってたのだったけど。
スキマスイッチのこの新譜は、そんな私に「せっかく生きているのに」と、「難しく考えないで生きることを楽しもうよ」と言ってくれたような気がしたのだった。
このアルバムの曲は全部好き、なのだけど、「ごめんねベイビー」が結構お気に入り。
若い頃はパートナーとのちょっとしたすれ違いも大げさに考えがちだけど、歳を重ねると乗り越え方も会得していくもので、そういう情景がすごく和む。
で、ここでちょっとふわっと軽くなった後に来る5曲目「遠くでサイレンが泣く」
イントロからもう、夕暮れの空の色が見えるような音、日暮れとともに自分の心の中に積もっていく自分の気持ち、なんかもう1枚の絵のようだなと。
いやもう全部、全部の曲にそんな風な情景が見えて、そして全10曲の真ん中の「遠くでサイレンが泣く」で一山越えてまた歩き出すような道が見えて、自分もこのまま歩いて行こうと思えて、これはホントにすごいアルバムだと思うのだ。
出会いに感謝、ラジオ聴いててよかった。