左寄りから見たパリオリンピック開会式
運動オンチの私はオリンピックにはさほど熱心な関心はない。
だけどエンタメ好きとして開会式には興味があって、リアルタイムで見たかった。
テレビで27日午前1時からだというので眠い目をこじ開けて待っていたが、いざ始まってみると「開会式まであと1時間半となりました!」(゚д゚)ハァ?、
ということで諦めて寝た。
この時の夜更かしのせいで翌日は朝から1日体調が不安定で、それがその晩の食あたりを招いたのでは、と思っているが、まあそれは過ぎた話。
で、まだあまり動けない昨日、NHKプラスで開会式全編をゆっくり観た。
パリ開催ということで、さぞかし最先端の、あるいはその先のぶっ飛んだものが見られるんじゃないか、という期待は裏切られなかったが、同時に非常に強烈な、伝統を誇る愛国心も感じた。
フランスは、自分たちの手で戦って今を勝ち取っているんだな。
革命と言うのは決して「戦争」ではなく、自らで起こした自己改革の戦いで、それに勝って得た「自由・平等・博愛」というのは、そりゃその価値は何物にも代えがたいし絶対に失ってはならないと思えるものだろうなと。
そしてそこからの気付き、みたいなものもあった。
私の両親はバリバリの共産党支持者だった。
子ども時代には戦争でいかに大変な目に遭ったかと言う話をさんざん聞かされ、空襲被害の写真集を見せられたり「碑(いしぶみ)」という本を読まされたり(他にもいろいろ読まされたけど、これが一番強烈だった)、共産党(系?)の団体?主催の子供会に参加させられたり、政治に関しては常に与党批判を聞かされて育った。
だから私の思想信条にも少なからず影響は受けているけれど、押し付けられはしなかった(選挙では共産党に入れろ、とか、共産党以外はクソ、みたいなことはなかった)ので私はがっつりな「共産党支持者」にはならなかった。
が、やはり「保守」「右寄り」と言われる側の考え、「愛国者」と言われる人の気持ちや思いはよくわからずに来た。
簡単に言えば「国ってなによ?」「国民が豊かで平和であってこその国じゃないの?」「戦争なんて絶対ダメに決まってるでしょ」
まあ、その考えが変わったわけではない、今でもそれは変わらない。
ただ、右寄りと言われる人たちが「今の日本は外(主にアメリカ?)から与えられたものであって本来の日本ではない」と言う意味が少しわかった気がしたのだった。
本来の日本とはなにか。守らねばならない日本オリジナル、と言えば、神社仏閣、能、歌舞伎、城や古墳、京都や奈良、各地の自然遺産、など思いつくが、日本オリジナルの最たるものと言えば「皇室」なのだろう。
先の戦争では、その究極の日本オリジナルを守れなかった、「象徴」という有名無実のものとして残すのが精一杯だった、というのが、右寄りと言われる人たちにとっては一番の痛恨であり今でも受け入れがたい事なのかもしれない。
(と、「愛国」と「皇室」も私の中では繋がらないものだったが今回初めて繋がって、「国体」という言葉の意味も腑に落ちた)
だから多分、そういう人たちにとっては、どんなに豊かに便利に自由になったとしても、それは「あるべき日本国」ではないのだろう。
北朝鮮ほど先鋭的ではないにしろ、あちらに近いイメージなのではないかな、と思うのは自分が左寄りだから故のイメージの貧困なのかなとも思うが、ただもうそこは、良い悪いの問題ではないのだろうなと。
2700年近い歴史を持つ国であるのに、その「皇紀」を今の日本はフランスの様に誇れないのは確かなんだな、そこなんだろうな、そういう「精神」の問題なんだろうな、ということを思ったオリンピック開会式だった。
そう、「精神」。結局それが人間のアイデンティティなんだろうな。
私は「人間だって動物じゃん」と思っていたけど、「精神」というアイデンティティを持つ人間は、動物の一種ではあっても動物とは違うんだなと、初めて思った。
だからと言って戦争はいかんと思うよ、やっぱり。
今の日本を見てるとリベンジ戦争(対米ではないかもしれないが)を目論んでいるような気がして仕方ないけど、そこはなんとか、無血でお願いしたい。
時は流れ時代とともに価値観も先へ行くのだから、そこは着いて行ってもらいたいと切に思う。
左寄りから離れて、ここからはただのエンタメ好きとして、印象的だったシーンを。
コンシェルジュリー、からの図書館のシーンと、折々挿まれて映ったポンヌフ広場のシーン。
図書館がステキ。こういうところがヨーロッパに憧れちゃうとこなんだよね。
橋の上で、ハバネラの曲で揺れるドレスの人たちと布たちが幻想的で好きだった。
ルーブル美術館のなかで絵の中の人たちが聖火を目で追うのも、ベタだけどああいうの好き。
グラン・パレでの国歌「ラ・マルセイエーズ」。まさに女神のようだった。
物議を醸した橋の上でのファッションショー~ダンスシーン、私は大好き。
これこそ「これぞパリ!」じゃない?
全世界が見てる中でこれをやる、パリの矜持にブラヴォー!
これとか、銀馬に乗った妖しい騎士にときめいちゃうのは無宗教の恩恵かな。
エッフェル塔の光のショーも良かった。
もしかしてエッフェル塔のてっぺんに聖火が灯るのかな?と思ったけど・・・
なんと、熱気球の聖火。「火」じゃなく「水」で火を表現しているとか。
パリ、セーヌ川が主役なんだね~。
最先端の建物を新たに作るのではなく、あるものをとことん利用して街全体を会場として使う。
まさにSDGs!
そして大トリ、セリーヌ・ディオン。
ええ、私も泣きました。難病にかかり、その姿を晒し闘ってここまで戻ってきた人って、オリンピックに一番ふさわしいアーティストだと思った。
なんか、日本選手団、頑張ってるみたいね。
夫の様に夜更けまで見る元気は(今は特に)ないけど、毎日録画放送やハイライトで応援している。
頑張れ、日本!!!