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ユンディ・リ 大阪公演
いろいろあって心配していたユンディ・リの復活ツアー、日本にも来てくれた。
10月3日大阪シンフォニーホールでのコンサートに行ってきた。
どうしようか迷ったけど、感想、書いておくことにする。
今回のプログラムは、4月に出たCDそのままのモーツァルトプログラム。
仕切り直しにモーツァルトを選んだのは、初心に帰ってピアノ頑張るぞって感じなのかな、なんて思ったりしたのは、YouTubeでこのインタビューを見たから。
4月に発売されたモーツァルトのアルバムは素晴らしくて、もう何回聴いたかわからないほど聴いているし、何度聞いても心が震える。
なので、公演を心待ちにしていた。
感想はと言えば・・・うーん、ちょっと期待してたほどではなかったかな。
CDそのままの演奏が聴ける、なんて思っていたわけではないのだけれど。
プログラムは
・モーツァルト ピアノソナタ11番
・ 〃 8番
・幻想曲
-休憩-
・モーツァルト ピアノソナタ14番
-アンコール-
ショパン ノクターン2番
1曲目の11番、有名な「トルコ行進曲付き」ってやつ。
すごく気になったのが、ペダルの使い方で。
この人のピアノの個性って、音が粒だっていて一音一音の響きが美しい事、だと個人的には思っているので、この時の演奏で音が数珠つなぎの様にグズグズに響いてくるのがどうにも気になった。
途中で、ペダルがすぐに戻らない不具合でも起きてるんじゃないの?と思ってしばらく足元ばかり見ていたほど(席が比較的前方で良く見えた)。
まさかそんな不具合などあるはずもないのだけど、ただ、ドンドンと足音が聞こえるほど力任せにペダルを踏んでるのはやっぱり気になったな・・・。
2曲目の8番、モーツァルトが母親を亡くした後に書いたと言われる短調のソナタ。
自分のことと並べて書くのはおこがましすぎるのはわかっているけど、
この曲って弾いていると気持ちが昂るというか走るというかそういう作用があって、ピアノを習っている当時に先生から「曲に引っ張られないで、感情的になり過ぎないように、丁寧に」ってよく注意された・・・
のを思い出すくらい、ユンディの演奏も(CDとは違って)激しくて「感情的」というよりは「雑」に感じられてしまった。
なんとなく、ただの素人の印象だけども、この2曲はあまり丁寧に弾いてない感じがしてしまったのだけども、
その次の「幻想曲」はものすごーくステキだった。
はぁー、こんなに素敵な曲だったんだー、とうっとりする演奏だった。
CDでは、ソナタの方が断然良くて、幻想曲はちょっと埋もれてしまってる感じがしていたのだったけど、コンサートでは真逆の印象で。
だからこの幻想曲が聴けただけで今日来た甲斐はあったな、とは思えたのだったけど。
休憩後の14番もアンコールのショパンも、さらっと終わった感じ。
ただ、この日のコンサートは、客席もちょっと残念な感じだったので・・・
ユンディ君、やる気出なかったのかな、なんて思ってしまった。
まず、お客の入りがあまり良くなかった。
東京のオペラハウスでは、ユンディ・リのオフィシャルインスタで見る限り、3階席までまあまあまんべんなく入っていたようだったけど、大阪ではステージ奥の席にも、2、3階席にもほとんど入ってなかった。
他のホールでの映像からも、大阪は特にお客さん少なかった?と思う感じがあった。
でも、それはまあ本人がこれから頑張ってくれればいいだけの事、とも言えるけど。
休憩後の14番の演奏で、1楽章が終わったところで拍手が起きてしまったり。
えっ、と思って私も思わず拍手しかけたけど、
ユンディ君が「まだだよ!(-_-#)」って感じに2楽章を弾き始めて、なんだかこっちの方がドキドキしてしまった。
あと、演奏中の咳やお喋りが結構目立って。
私の席の周りだけだったのかもしれないけど、割と前の方の席だったから舞台まで聞こえたと思う。
演奏中なのにひそひそ話する人たちがちらほらいたり、咳込んで止まらなくなったご老人がいたり。
この方、休憩前の8番の終わりころから咳が出てて、休憩後は14番の演奏中からアンコールの間までずっと、何度も酷く咳込んで、さすがに周りの人たちが視線を向けていた。
ご本人も辛かっただろうけど本音を言えば席を外してほしかった。
まあ、クラシック音楽のコンサートの演奏中に席を立つのも勇気の要ることだけど、でもあの咳はちょっとしんどかった。
そんなことが影響したのかどうかはわからないけど、アンコール後のご挨拶も1度だけで、拍手が続いているのに客電が付いてしまって。
アンコール後の挨拶の時にスタンディングオベーションした人がほんの数人いたのだけど、おそらく多くの人はまだ早いと思っていたんじゃないかなと。
次に出てきたらその時は、と思っていたらもう出てこなかった、というふうに思えた終わり方だった。
プログラムを買ったらサイン会付きで、せっかくだからと並んでサインもらってきたけど、もらっといて言うのもナンだけど、正直そういうのはもうやめた方がいいんじゃない?と思ったことだった。
サイン会で目の前で笑顔を見せてくれた印象でも、確かに美しい人だけども、でももうそういう事で勝負しなくてもいいのでは。
明日の誕生日で42歳になるユンディ君、というより、リ氏。
ピアノ以外の人生の喜び楽しみも知ってちょっと調子に乗り過ぎた30代だったようだけど、それはそれでいいと思うのだ。
最後に痛い目に遭っちゃって、ピアノに戻ってきてくれるんだろうかと心配したけどちゃんと戻ってきて、あんなに素晴らしいモーツァルトのCDを出したのだから、もうそこまでの事は「若気の至り」「人生勉強」でいいと思う。
大事なのはこれから。
だから本人の頑張りもだけど、それ以上に周りこそが、ピアニストとしての道を守って導いてあげてほしいと思う。
コンサート後も彼のCDをいろいろ聴いてるけど、今はモーツァルトが一番いい。
ベートーベンが出た時には「なんて美しいベートーベン!」と感動したものだったけど、今回のモーツァルトのほうがずっとずっといい。
だからこれから先、もっと良い演奏が聴けるはず。
楽しみにしてるので頑張って下さい、ユンディ・リ様。
長々と語ってしまった。
最後まで読んでいただいてありがとうございます<m(__)m>