いつも心にパワプロくん
楽天でまとめ買いした小顔効果のあるスモーキーピンクの不織布マスクは1年近く未開封のまま。
必要なときもあるだろうと置いておいたが、もう捨てようかしら。でも腐るもんでもないし、ビッグサイズフェイスをいい感じに包みこんでくれるこれは貴重。うん、まだとっておこう。
大局的にみれば自分の顔にそこまでコンプレックスはないけれど、うまく笑顔が作れないことはずーーーっと、課題。
気を抜くと下がる口角。自分では聖母の微笑のつもりで撮った写真は世界を恨んでるとしか思えない強面。夫や友人が撮ってくれた写真に写る私はいつだって感じが悪い。
そういえば高校時代の友人に「あなたは目が笑ってない」って言われたなー、分かるー。
コロナ禍は0歳児育児真っ只中で、私の生活と世間が同時に変わったせいでよく分からなかった。
ただ、どこにでも消毒液があり助かったこと、とにかくどこへでもマスクをつけていかなければいけないことは分かった。
基本的には近所のスーパーとドラッグストア、子育て広場でしか人と接触しなかったが、それだけでも思ったことはある。
「美人とイケメン増えた?」
「おじいちゃん、そのマスクいろんな意味でほぼ無意味やで…」
「うっわー!今の人の感じ良かったなー!!」
マスクを外した顔も知らないし普段どんな表情するのかも分からないが、私の頭のなかにデジャブを感じる。
なんだ…?とんでもない既視感…。
娘と公園で遊んでいる時に唐突に気付いた。
パワプロくん!!!!
一つ上の兄は小さい頃から野球が好きなコロコロ世代。
ドカベンや一球さんを読みながらパワプロで色んな選手を育成していた。
私もやらせてもらったことがあるが、まるで面白さが分からない。
強いて言えば友人:矢部の「でやんす」をどれだけ引き出せるかくらいだ。
パワプロはキャラの口が描かれていない。
けれどもしっかり喜怒哀楽が表現されている。
それは紛れもなく目によるもの。
それが、マスクなのに「感じ良ー!」と思った人に通じる。
パワプロくんくらい目が線になるのだ。
それから私は練習した。
口角ばかり気にしていたが、大切なのは目なのかも。
目をにっこり☺にするのは意外と簡単で、目がとりあえず閉じればそれっぽくなる。
これだ。
目が笑ってない口角下がり女から、目だけ細めてマスクの下は無表情女に 進化した。
と、ほんの少し前の記憶を、おもちゃ見本の前から動かない娘たちを待つ間に見るともなく見ていたスマイル0円お姉さんの目元に思い出した。