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M&Aされたことのある情シスが語るM&Aする側の情シスの話
前回、M&Aの波に飲まれて気が付けば情シスになっていた話を書きました。
今回はその続きで、転職後今度は逆の立場になった話です。
失敗や反省も多くあって、アドバイス的なものになってますwww
(未来の自分への念押しという意味が強いです)
こんな記録が、いつか誰かの参考になれば嬉しいです。
M&Aする側の情シス
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転職後数年して、私は情報システム部門のマネージャーになった。
入社してすぐに上場に向けてのIT環境整備やルールの整備を行っていった。
理解ある社長のもと、情シスにも一人ずつ仲間が増えていきチームとして皆で色々なことを進めていった。
EDR導入。MDM変更。新拠点追加。拠点移転。SaaS導入。ISMS認証。IT統制。IT戦略勉強会。DX勉強会。ITセキュリティ向上のための全社勉強会にテスト。インシデントレスポンス対応訓練。その他にも、色々なことが現在進行形で動いている。
通常の業務でバタバタしている日常にそれは突然やってくる。
「M&Aが成立しました」
契約までどうなるかわからないM&Aは基本的に社内でも秘密情報として扱われる。ある日、子会社が増える。ある日、新しい拠点が増える。
さて、その時情シスはどうするか。
「やるしかない」
部員のモチベーションへのフォロー
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当然タスクが溢れるので大幅に優先順位を変更する。それでも負荷は大きい。どれだけこの業務が会社にとって重要であるかを説明する。
進行中の業務の中には止めることができないものも多い。悩みから脱出できるまで一緒に考える。どうすればいいか。
モチベーション。
M&Aに限らず突発的な業務が差し込んだ時に一番気にかけている。
ただM&Aの場合、明らかに負荷が高いのでより気をつけている。
ひとりでは絶対にできない。
仲間の力が必要になる。
経営陣からのメッセージの大切さ
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M&Aされる側のトップが、残された社員に状況とメッセージを伝えているか。それはとても重要で大事だ。
前職の場合、そこがまったくなかった。
幹部クラスにはあったのかもしれないが、現場の私の耳には入らなかったし、親会社から任命された役員や、その役員に選ばれた元からいた社員は悪者とされる異常な光景だった。
オーナー社長からメッセージがあれば違ったのだと思う。
ただ、デジタル化された給与明細を見て踏みつけたこと考えると
M&Aされる側とする側のコミュニケーションがまったくとれていなかったと思う。
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M&Aする側のトップから明確なビジョンと今後の話を全従業員に伝えることも大切だ。前職の経験ではそんなビジョンが伝わっていなかった。新社長は伝えたのかもしれないが、全く届いていなかった。事業部門とのやりとりを、入社2年目の若い女性に任せていたような、矢面に立たず、陰で動いていた新体制の幹部。
色々と当時私の知らないことを教えてくれて、自分を変えるきっかけになった方々で感謝の気持ちも沢山ある。ただ、あの時の事を思うとやはりおかしい。M&Aに関する知識、財務、法務、会計などの専門知識は確かにずば抜けていたのだと思う。ただ、一番欠けてはいけないものが、欠けていたと今ならわかる。
現職では、トップが強くメッセージを伝えていて、「ああ、全然違うな」と感じる。もしもあのとき、こんなトップだったなら、なんて立派な姿を見ながら、ふと思ってしまったりする。
社内の方針確定は超丁寧に
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M&Aにあたって社内にプロジェクトを担っている中心人物がいるはずだ。
IT環境の統合にあたっては、社内で超重要な基幹システムの導入並みに、しっかり要件定義をしたほうがいい。
PMがITへの理解が薄い方の場合、文字だけではダメ、図も作って、プレゼン資料も作って、システム部門としての考えをしっかり伝えないといけない。
ここは私自身が、失敗した経験があるので熱く伝えたい。
発信した内容に「いいね」リアクションがついてても理解してもらえてないと認識すること。
M&A契約直後で超忙しい中心人物の時間を意地でも取るのだ。
そこの説明は決して楽してはいけない。
自分のできる最大限で伝え、聞き、方針を決めること。
議事録を取り、エビデンスを残すこと。情シスなら社外対応で慣れてるはず、それで行きましょう。
(ああ、たらればが蘇る・・・いい経験!)
M&Aプロジェクトを担う中心人物の力量大事
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どんなプロジェクトでもそうだけど、PM大事。
PMによっては、M&A後の情シスの動きは、作業は多いもののメンタルには来ない。M&Aされる側の従業員から非協力なこともあまりない。
ただ、会社も人も星の数ほどあるので、PMだけの問題ではないかもしれないけれど、少なくとも何か課題があれば事前情報が入り、心の準備ができるはず。
PMの力量を判断して、不安なら最大限覚悟して想定して臨むのがいい。
M&Aされる側へ現地調査とヒアリング
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IT環境統合という超重要ミッションが、情シスには課せられる。
といっても、先方がどんなネットワーク体系で、どんなサービスを使っていて、セキュリティレベルも何もわからない状況である。
現地調査とヒアリング、まずはそこからスタートすることになる。
そこは、M&A契約前ならまだ他社である。契約後なら同じ会社、またはグループ会社になっている。
まだ他社状態のときは、相手の気持ちが不安定な場合がある。
先方の社長が、社内でしっかり情報発信してくれているかなんてわからない。完全アウェイだと思って行ったほうがいい。
前職では、悪者でスパイだった。
あの時の事を思い出して臨んでいる。
いつもの100倍気を遣って、丁寧に動こう。
M&A契約後でも、気を緩めてはいけない。
基本的には契約前とスタンスは変えない。どの程度でいくのかはPMにしっかり確認しておくのが良い。
業務時間中に、PC1台に対して5分見てもいいか、
15分見させてもらっていいか。
そんな小さなこと含めPMに確認しておこう。
先方には情シスが存在しないこともある。
そんな時は、契約書・請求書をひたすら見る。
何もない会社に入社した時と一緒。
机の下に潜ってLANケーブルを追っていく。
色んな事を謎解きだと思って、楽しんでしまう。
イチから教育
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従業員がドンっと増える。
会社の規模によってレベル感が異なるとは思うが
ITリテラシー、ルールなど教育はイチからスタートになる。
そんな細かいルールなんてなかった会社を吸収する場合、かなりの反論をいただく場合もある。
それは仕方ない。
イチからコツコツわかっていただけるまで説明である。
どうしてこのルールがあるのか。
できるだけ気持ちを込めて、丁寧に伝えるようにしている。
稟議書導入して怒鳴られた日々をふと思い出す。
そんな会社でも数年後上場できるレベルまで色々と整ったのだ。
大丈夫、コツコツと対話をしていけばきっとわかってもらえる。
なんとかする
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入力する指が止まらない。いくらでも書けそう、なくらい現職では色々な経験をさせていただていると改めて感じた。
M&Aと言っても色んな種類があって、状況によって全く異なる。
M&Aのフローなんかはいくらでも検索すれば出てくるし、AIに聞いてもいい。ただ、気遣いの重要性はあまり触れられていない気がする。
内にも外にも、私はそこが一番大事だと思っている。
今まで経験したのは、明らかにIT環境が自分達より整っていない会社ばかりである。今後、自分達レベルか、またはそれ以上のレベルの会社とのM&Aになった場合、かなり悩みそうな気がする。
技術的なところでの事業継続性とコストもだけど、どっちかというと統合後の従業員の気持ちが一番気になってしまう。
そんな時に苦労しないように、日ごろから色んなツールやシステムへのアンテナを張っていく。そして、そんな日が来たら・・・なんとかする。
「毎日何が起こるかわからないけれど、何が起こっても対応していく仕事」
情シスはまさにそれだと思う。
明日もきっと何か起こる。
それが、朝イチで誰かのPCの電源が入らないとしても、スマホの紛失だとしても、ウイルス感染だとしても、M&A契約だとしても、なんとかしましょう。
明日も、情シス頑張ってまいりましょう!
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