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国際結婚 夫の初挑戦に居場所を感じた話

わたしの夫はアメリカ人です。

夫が日本に行ったのは一回だけ。住んだ経験もありません。わたしがアメリカに来て生活をはじめたのも10ヶ月前なので、特に日本食の経験は、ほぼわたしを通じてです。

夫は日本の家庭料理が好きです。例えば、茄子の揚げ浸しとか、お味噌汁、卵巻き、肉じゃが、丼物、お鍋とかは美味い!とよろこんで食べています。すいとんのお味噌汁なんかにも目がないですね。ちょっと昭和ですけど、シェフが昭和生まれのわたしだから昔ながらのメニューもあります。

そんな夫は、わたしが夕飯の支度をしていると、よく横に来てじーと見学するんです。作るのは任せるよと言いながら興味深々な様子で。わたしが体調が悪くなったときは自分が作りたい思いもあるようです。

先日、夕飯後に翌日のランチのおにぎりを作ろうと、余ったご飯に塩をまぜ、ラップの上に乗せ、梅干しを真ん中にちょこんと置いたところで、背後に夫の気配を感じました。振り返ったら、やっぱりいた。ニコニコ見学中でした。

「おにぎり、作ってみる?簡単だよ。」

ふんわりとラップで包んだご飯。まずは、夫の片手の手のひらに乗せ、もう片方の手を互い違いに乗せ、揉むように強く握ると形ができるよ、と伝えました。ちなみに、わたしは三角おにぎり派。

夫は大きな手で伝えたとおりに、ゆっくり両手のひらを同時に動かして握りはじめました。

わたしはふだん仕事で生徒たちに言うように、「Good job!」いいね!
「Good job squeezing! 」握るの上手いね!
「Awesome!」最高!
「Keep going!」頑張って!
とか繰り返し言って、めちゃくちゃホメました。大のおとなに、それでよかったかはわかりませんけどね。

できた おにぎりが こちらです。

アングル: 正面


下の写真は側面から見たおにぎり。この厚みがたまりません。

側面


次は上から見たおにぎり。矢印のへこみは、たぶん中指の形です。手で握ったことがわかる いびつさは、ほのぼのとした素朴さと温かみを感じます。母のおにぎりもそうでした。

「ありがとう!うれしい!明日が楽しみ!」

と言ったら、夫はニコリと笑い、もう役目は終わったかのようにキッチンから消えてしまったので、わたしが仕上げをしました。

夫婦で作った、とろろ昆布の塩おにぎり、梅入りの完成です。

とろろ昆布の香りは最高です。

出身地の石川県やお隣の富山県では、昆布で巻いたおにぎりをよく食します。コンビニでも北陸限定の昆布で巻いたおにぎりがあります。とろろ昆布の梅干し入りおにぎりは、わたしの第一選択。第二選択は昆布の佃煮かツナマヨでした。

さて、おにぎりもできたところでお弁当を作りました。仕事はフルタイムですが休憩は15分ほどなので、いつも簡単なお弁当です。


外国人の夫に垣間見た日本で、わたしの幸福感は寝る頃もまだ続いていました。就寝前にありがとうを再度伝えたら「いつでも作るよ!」と夫。

この瞬間、何気ないその言葉で、なぜか、ふぅ〜と力が抜けたんです。重いリュックを下ろしたときのような感覚を確かに感じたとき、わたしがやらなきゃと、勝手に頑張りすぎてる自分にも気づいたんです。

そうか。二人とも日本食を作れるようにしたらいい、たまには甘えればいいんだ。

夫と出会うまでいろんなことを一人で達成することが多かったわたしのクセで、今は頼れる人がいるありがたい環境なのに、毎日の食に関してはワンオペしか選択していなかったんです。

国際結婚は異文化で生まれ育った背景ゆえに、言語だったり、食の好みだったり、生活スタイルや日々の習慣も、いろんな違いが当たり前で、うまくミックスという、なかなか都合のいいようにはいきません。

お互いの文化をリスペクトして歩み寄りが大事なんだとわかっていながら、日本食はわたししか作れないと、勝手に決めつけていました。

でも、それは違う。それぞれが日本食を作ることだってできる。

わたしにとって「食」はとっても大切な人生の一部です。楽しみでもあり、表現のひとつでもあり、五感から自分を満たすものでもあります。極め付けは、わたしのハッピーが夫の大好物だということ。

だから、

「食」は、二人ができるように。
そう思いました。

この週末は継娘が来て茶碗蒸しに挑戦したいと言っています。おにぎりを握るアメリカ人の夫と、茶碗蒸しを作るアメリカ人の継娘。

もう最強やんと思ったら、ほっとしたという新米主婦のお話でした。

おわり

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おまけ

金沢駅構内に美味しいおにぎり屋さんがあります。西口のセブンイレブンの横にある「むすび」というおにぎり店です。もちろん、とろろ昆布のおにぎりも並んでますよ。機会があったらぜひ!


noterさんの記事も見つけました。詳しく書いてくださってます。

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