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Part 4 | 決め手。 夫を信じたメッセージ

※この記事は、【国際結婚第1章 - 3】夫を信じたメッセージ をマガジン作成にあたり修正したものです。

ふりかえると、つくづく夫は正直な人だと思う。最初から現在も、その正直さは変わらない。私はというと、実はこの正直さに救われている。なぜなら、エンパスの性質からか、直感が冴えているからか、相手が違うことを言ったり、隠したりするとわかってしまうからだ。

付き合い当初から夫の誠実さ、常に一生懸命なところも際立っていた。わずかな付き合いで「決め手」とも思える感覚を受け取れたのも、きっと余計な疑いなく交流ができていたからだと思う。

過去の関係

やり取りを始めて7日くらい経ったころ、夫から長いメールがきた。メールには、過去の奥さんのこと、結婚生活のこと、離婚に至った経緯、そして、私の前に付き合っていた遠距離の彼女のこと、別れた理由が書いてあった。

「離婚」という経緯がある元の奥さんのことは書いてくる理由は理解できるけれど、元の彼女のことを加えたのは、きっと大切な人だったんだろうなと察した。

信じてください

数日後、今度は長いLINEがきた。内容は、夫が所有する自宅を含めた財産、およその価値、貯蓄額の一覧。驚愕した。その後にひとこと添えてあった。

「僕はそんなに裕福ではない。だけど財産として今これだけ持っている。しっかりと毎日働いてるし、贅沢もしない。それに健康もある。だから、裕福でなくても、心地いい生活ができているよ。」

「裕福ではない」と男の人が言うのは、きっと勇気がいること。自己主張のない正直なメッセージに心が留まった一方で、文中に気になることがあった。文章のなかで何度も「quick」という単語を使ったいた。どういうことだろう。

関係を急いでいるのかなと思ったら、急に心がザワザワした。もし急いでいるなら無理だよ。コロナ禍で数年は直接会えない可能性がある。お互いに求める相手ではないかもしれない。何度文章を読んでも、私の解釈は「急いでる」だった。

思い悩んだ挙句出した結論は「ここで終わりにしよう。その方がこの人も次の人を探すことができる」と。夫にメールを送った。

「私はゆっくりと関係を作っていきたい。だから、今のうちにやめた方がいいかもしれない。お互いに自分の理想に叶う人を探す方がきっといいと思う。」

仕事中の夫から返信がきた。「混乱している。思い違いをしているから説明させてほしい。今日帰宅したらメールを送る。」とあった。

夫は言ったとおり、帰宅後メールを書いて送ってくれた。今のうちに関係を辞めると決めた私も自分の決断に哀しんでいた。こんなに心地いい人はいない。でも、急いでいるから相手はそれに応えられる人がいい。

夫が「小説」と呼んだその長いメールをすぐには読めず、金曜の夜、その週の勤務を終えてから、ベッドに横たわってメールを開いた。

「僕に説明する機会を与えてくれてありがとう。この”小説”を読んでくれてありがとう。

経験上、マッチングサイトでの出会いは "早く" 進む傾向があるし、後から知ったことで、この人は違うと思うのは時間の無駄になる。それに、丁寧に書かれた ののこのプロフィールと写真は多くの人を惹きつけると思ったんだ。だから、複数の人からメッセージが来たとき、ののこが自分に合う相手を選びやすいように、変えられない過去のこと、生活で大事なことは先に話しておくべきだと思って、僕の経済状態や生活、過去の結婚について話したんだ。

情報があった方が、相手を選ぶ時に”早く”最善の選択ができるし、僕を理解した上で付き合う方が、ののこが決断を”早く”にできるはずだ。だから、quickという単語を使ったんだよ。

普段は人には言わないよ。特に資産や貯金のことは話さない。ののこには強く将来の可能性を感じている。僕に直すべきところがあったら努力する。だから、僕にチャンスをください。僕を信じてください。

これは要約。実際はもっと長かった。印象に残った夫の言葉「僕を信じてください。」。メールを3回読み直し、自分の英語の理解が正しいことを確認し、声を出して泣いた。

シンプルだけど夫の真剣さと誠実さが表れている言葉に、過去に味わったことのない幸せを感じ、この日からさらに心がオープンになった。夫のこの行動がなければ今の私たちは存在しない、大きなできごとだった。

守りたい

連絡するようになって21日後の週末、夫の住む地域は大雪になっていた。今からシャワーを浴びてくるよ。今シャワーが終わったよ。まるで実況中継のように毎日LINEを送ってくる夫から、「今からしばらく外に行くから連絡取れなくなるよ。僕の家の雪かきをしてから、近所の人の雪かきもしてくるね。」

その言葉と一緒に、キッチンで自撮りした一枚の写真を送ってくれた。はにかんだような笑顔だった。この写真を見たとき、

「なんて優しい笑顔なんだろう。この笑顔を守りたい。この人がずっとこの笑顔でいられるようにサポートしていきたい。」

いわゆるピン!ときた、というものだったかはわからない。将来を感じた瞬間だったかもわからないけど、自分の気持ちを知ったのはこの時だったと思う。

結婚の決め手は?という質問を見聞きする。思い返すと私たちの場合、これという決め手はお互いにない。

幸せになりたいとか、幸せにしてとか、私にはそういう思いはなくて、あったのは「この人が、ずっとこの笑顔でいられるようサポートしたい。」という思いだけだった。決め手といえば、受け取ったこの感覚がそうなのかもしれない。

まだ直接会ったことも、電話も、ビデオ通話もしたことのない3週間ほどの付き合いの人に感じた、ふしぎな確信と誓いだった。

思い出の曲

夫と出会った翌月は12月。クリスマスが近くなり大好きな曲を使ったフランスのTVコマーシャルをYouTubeで観ていた。1974年のアメリカのレッドボーンというバンドの曲だ。タイトルは、『Come and Get Your Love』

この記事を書くために久しぶりに聴いた。あの頃の感覚に、意識も、心も、身体もそのままに移行できるのは音楽の素晴らしさだと思う。今年の12月もまた大切な時期を思い出しながら、くりかえし観ると思う。

ビデオは1分39秒。よろしければ、ぜひご覧ください。

ここまでお読みくださりありがとうございます。

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