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企業が社員に地域社会でボランティアをさせることをどう考えるか問題

 企業がCSRとして地域活動における社員のボランティアを推奨することは最近では珍しい動きでもなくなった。しかし、それが社員にどんな効果をもたらすのか、どんなやり方だとうまくいくのか、ということは実はあまり良くわかっていない。

 宮坂純一は、「CSR、企業市民活動そして企業ボランティア(下)—— 欧米の経験に学ぶ ——」 『社会科学雑誌』第 19 巻(2018 年 )PP1-35のなかで、次のように述べている。

 まず、そもそも<企業ボランティアが概念として明確化されたうえでその事象が語られてきたわけではなかった>(P2)という。つまり、学問的な研究がしっかり追いついていないジャンルなのだ。

 この企業ボランティアという概念もまた、日本で流行っている他の多くの概念と同じく、アメリカで先んじたものを輸入したものである。

<企業ボランティアが一般的に知られるに至ったのは 1980 年代の中頃 であるが、それらの最初の幾つかの事例はアメリカの 20 世紀初頭に遡ることができる、と言われている。本稿ではそのような経緯を考慮 して、アメリカ企業の実践に典型的な事例をもとめその1つを紹介する ことから現実の分析を始めたい。それはノルドソン(Nordson Co.)で 展開されている従業員ボランティア・プログラムである。 ノルドソンでは、地域社会に貢献するというノルドソンの伝統を踏まえて 1993 年に「従業員ボランティア・プログラム」が立ち上げられた。>(P4)

 90年代初頭に形式化されたプログラムが確認されている。その後、日本で1995年の阪神大震災を経て、1998年にボランティア元年というようになったのは御存知の通りである。

 では、企業ボランティアというものと、個人が行うボランティアとの違いはなにか。ポイントは、社員が勤務時間内に行うかどうか、行き先や行った先で何を行うかを企業が管理するかどうか、というところにあって、つまりは企業による計画の範囲におさまるか、飛び出すことが許容されるか、という話になる。

 宮坂は以下のように述べる。

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