まちづくりにSF作家が必要になる時代〜雑誌「mezzanine」感想

 都市とか建築とかコミュニティとかまちづくりを、こういう視線で取り上げるっていうポジションを取る雑誌って、意外とないよなあと思いながら読んだのが、こちらの雑誌で。

 この中で、これからの都市づくりの手段の一つとして紹介されているNTTのデジタルツインコンピューティングっていうのがあって。

 デジタルツインとは、例えば、機械部品のようなモノの形状、状態、製造工程等を計算機内で正確に表現したデジタル情報です[3]。また、ヒトに関しても、医療分野におけるMRIやCTスキャン等から得られるデジタル情報の活用は、既存のデジタルツインの一形態と考えられます。これに対して、私たちが目指す「デジタルツインコンピューティング(Digital Twin Computing、以下DTC)」とは、このデジタルツインを大きく発展させ、実世界を表す多くのデジタルツインに対して交換・融合・複製・合成等の演算(デジタルツイン演算)を行うことにより、モノ・ヒトのインタラクションをサイバー空間上で自由自在に再現・試行可能とする新たな計算パラダイムです。
 これまで提唱されてきたデジタルツインは、主にデジタル表現された物理的なモノの制御や観測に用いられています。一方、DTCでは、デジタル化される対象をモノだけではなくヒトにも拡張し、さらにデジタルツイン演算により、サイバー空間上でモノやヒト同士の高度かつリアルタイムなインタラクションが可能となることが大きな特長です。
(略)この特長をもつDTCを用いることにより、次のような様々な社会課題の解決や革新的サービスの創出が可能となると考えます。
■地球・宇宙規模のシミュレーション
 地球規模で自然条件(気候、埋蔵資源等)や社会変動(人口・GDP変動等)を再現する大規模なデジタルツイン群を用いてサイバー空間上に仮想社会を構築し、高精度な予測モデルを用いた近未来推定やシミュレーションが行われ、地球規模の資源収支予測に基づいたSDGs政策等に活用されます。また、東京やサンフランシスコなど、実世界における都市のデジタルツインを宇宙空間のデジタルツインと合成し、大気、水、食糧、エネルギー等の収支シミュレーションが宇宙開発に利用されます。
■都市の課題発見・解決
 都市と住民のデジタルツインを通じて、住民たちの経験や文化・価値観、意識・無意識な希望・不満等を匿名化して集約して、生活者でないと気が付きにくい「危険な交差点」などの都市の潜在的な課題を発見し、さらに集団最適化した解決策を見出します。また、他の都市との相互作用シミュレーションから、類似性あるいは相互補完的で意外な組み合わせとなる「姉妹都市」を創出し、豊かな都市構築のための協力関係が多く作られます。
■疾病拡散予測・抑制
 感染症の発生に際し、ヒトのデジタルツインから得られる市民の行動パターンや人間関係マップと、地理・交通情報等を組み合わせた仮想社会を構築し、高精度な感染症の拡散予測を行います。さらに予測結果を元に、交通流/人流のコントロール、学級閉鎖・遠隔学習の早期実施判断、最適な病院の自動検索・予約等を行うことで、リアルタイムかつアクティブな感染拡散の予防・抑制が行われます。
■個人の多面的意思決定
 自らの業務スキルをデジタルツインに記録させ、日程調整、会議室予約等の日常業務を自らのデジタルツインに行わせます。また、自らのデジタルツインを複製し、過去の自分や、様々な立場、前提知識等を変化させ、実世界の自分とデジタルツインと対話し、様々な問題の解決を試みます。さらに、様々な自らのデジタルツイン同士がサイバー空間上で超高速に議論しあい、解決策や自分では気づくことができない観点を短時間で見つけ出します。

 これって、つまり飛浩隆の「廃園の天使」シリーズのシステムだと思いまして。まじかよ、未来きてんなと。

 グラン・ヴァカンスが出たのが2002年のころなので、このころはSFだったものが、政策の一つになってくる。SFに現在が追いついていく感じを見ている気がして、なんだか不思議な気持ちがしまして。

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