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お洋服屋さんはお洋服を売るために、そのお洋服を着るTPOを売ってる、って話。

 以前、誰かに教えてもらったことなんですけど、ゼロ年代からお洋服屋さんが家具とか食品も商ったり、ワークショップのようなイベントを企画したりし出したんですよね。セレクトショップなんていわれたりして。で、なんでそういう業態が発達したかって言うと、お洋服が飽和したいま、よほどの服好き以外にも洋服を売るには、その洋服を着るようなTPOをセットで売らないといけないからだ、という話だったという記憶がある。TPO、つまり、そのお洋服を必要とするような、ライフスタイル自体を売るんだ、というわけですね。

 それを耳にした時、「分かる」と思った覚えがあるんですね。例えば僕なんか、きっちりしたスーツとか、よほど気取ったレストランなどに行かない限りふだんは着ない生活なんですよ。非集でインダハウスしましょうねってなってその傾向はより一層強くなったと思う。でも、いざそういうイベントにいかなあかん用事ができたなら、「一着買おうかな」とはなると思う。その意味では、喪服とかに近い。

 疫病の流行でアパレルは苦境に立ったってよく聞くんだけど、それは多くの人たちにとって、服というのが、服という物体として好きだから買っていたわけではなく、服を必要とするような機会への参加が要請されていたからやむを得ず買うものだったのだ、ということが明らかになってしまったという感じがしていて。

 だからか、いまファッション誌をパラパラ眺めると、「ビデオ会議映えする在宅ワークに便利な服はこれだ!」とか、「家でゴロゴロする時と近所のコンビニに行くときとがシームレスになる服はこれだ!」とかいった、涙ぐましい提案が行われているのに気づく。

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