コミュニティ政策は「何を支援する」政策なのか?という話
わが国の住民参加のまちづくりにおいて地域住民組織は伝統的に、自治体行政のパートナーとして重要な役割を果たしてきたし、現在においても欠かせない存在であることは言うまでもない。
例えば行政機関による市民要望の広聴、選挙、防犯、防災、地域活性化などである。地域住民組織がこれらの役割を十全に果たすためには、地域住民組織によるマンパワーの調達が必要であり、マンパワーを調達するうえで、地域のつながり(≒地域コミュニティ)が重要になる。
この、地域住民組織のつながりを維持、形成してきた主要な組織体の一つが、地域住民組織の基礎単位である町内会である。
この町内会という組織体は、自治体のコミュニティ行政において大変大きな存在感を持つもので、それゆえに私たちは、「いわゆる町内会」が機能している地域を典型的なイメージとして思い描きがちである。例えば、積極的なコミュニティ形成の取り組みを行う町内会の場合、「成功事例」「モデル町内会」などと呼んで理念型としてしまいがちだ。
反対に、この理念型から外れて、町内会が不在、休会、解散などの理由で機能していない場合、そもそも関心の外側に置かれてしまう。なぜなら、支援の対象となる町内会がないからだ。言い換えれば、「地域コミュニティは町内会が作っていて、コミュニティ行政はこの町内会を支援するものだ」という、町内会の存在感が大きいがゆえに生じる認識枠組みゆえに、多様な背景を持つ地域に関して私たちはつい関心の外においてしまうというか、実はあまりよくわかっていないままにしていることも多い。
しかしそれでは地域社会の認識に対して抜け漏れが生じるため、どのようなコミュニティ行政を執り行っていくか、ということを考える上で、適切な判断ができない危険がある。どうにかこの認識枠組みのデメリットを解消できないか。
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