市営住宅の共益費で人死にが出た問題について考える。
こんな記事を読みまして。
訴状などによると、男性が1人暮らしをしていた大阪市内の市営住宅では2019年11月、自治会の班長を住民同士がくじ引きで選ぶことになった。男性は障害を理由に選考から外してもらうよう役員らに求めたが、「特別扱いできない」と聞き入れられなかった。
役員らは集会所で男性と対応を話し合った際、障害があることや日常生活への影響を記すよう要求。男性が書面を作成すると、役員らは他の住民にも書面を見せて男性のことを紹介すると説明したという。翌日の11月25日、男性は自宅で命を絶った。
書面は便箋2枚に手書きでつづられ、「しょうがいか(が)あります」という言葉で始まる。「おかねのけいさんはできません」「ひとがたくさんいるとこわくてにげたくなります」「ごみのぶんべつができません」などと苦手なことを列挙し、文頭に×印を付けた。「となりにかいらんをまわすことはできます」などと、可能なことには○印を付けたとみられる。
両親「障害有無は個人情報」
両親は「障害の有無などは他人に知られたくない個人情報。必要性がないのに本人の意思に反して書面作成を強要した」として、プライバシーや人格権の侵害を主張。他の住民に見せると伝えて心理的な負担をかけており、役員らは自殺を予見できたと訴えている。
一方、役員は「どうすれば他の住人の理解を得ながら、男性を班長選出から外せるか模索した」として、強要を否定。書面の作成については「嫌がっているそぶりはなかった。ストレスのない方法を選択して適切だった」と主張している。
近くに住む兄(41)によると、亡くなる前夜、男性は「言いたくないことまで根掘り葉掘り書かされた。さらし者にされる」とため息交じりに話し、落ち込んでいたという。兄は「弟は真面目でおとなしく、障害もあって他人に指示されると抵抗できなかった。自殺に追い込んだのは許せない」と話す。
僕は常々、町内会のような地域組織には、立法機能や行政機能はあるのに、司法機能がないというアンバランスが、地域自治の最大の欠陥だと言っていて、だからこういった住民間トラブルも、基本的には法律で裁定していこうとすることに賛成です。それについてはこちらにも書きました。
で、裁判をやっているということなので、もちろん法廷で決着すべきことだと思います。そのうえで、亡くなられた方のご冥福を心から祈ります。
でですね、ここで何を書くかって言うと、この新聞記事だけ読んでいると、自治会員の人間性の問題として短絡的に印象付けられそうな気がしたんですよね。なので、ちょっと補足しておきたい。
まず、大阪市の市営住宅では、家賃とは別に共益費を支払う必要があります。でですね、共益費を徴収するのは、市ではなく、自治会とされているんですね。詳しくは入居者向けのしおりをご確認ください。
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