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保育所運営審議会の司会進行は誰がするべきなのか問題

 まちづくりで地域に関わっていると、ちょいちょい関わりが出てくる、学校運営協議会。2017年に9この制度が実装される以前から、実は保育所運営審議会という、保育所運営に係る事項を主な検討対象とする任命制合議制機関を設置されてきました。学校運営協議会の未来を考える上では、先行して経験を蓄積してきた保育所運営審議会の経験から学ばない手は有りません。

 この点について詳しく紹介しているのが山中 拓真『保育所運営審議会の委員構成に関する一考察』です。

 まず、保育所運営審議会とは、子ども・子育て支援法第77条によって地方版子ども・子育て会議の設置の努力義務が市町村に課されているものです。

 しかし本制度の理念が本当に実現できているのか、というとよくわかっていないのが実態だと言います。ということで本論文では、同様の制度について研究の進んでいるアメリカの例を参照しています。アメリカの保育所運営審議会では、委員の人種や性別、ときには性的志向までもが、政策の結果ないし成果に影響を及ぼすことがわかっているといいます。

 例えばテキサス州の学区教育委員会を対象に、ヒスパニック系委員が直接的経路と間接的経路を通じてヒスパニック系児童生徒の学力を規定することを明らかにした研究があるといいます。すなわち、ヒスパニック系委員の割合が高まることが直接的にヒスパニック系児童生徒の学力を高めるだけでなく、ヒスパニック系の指導監督担当者を増加させ、それによってヒスパニック系教員の雇用が促進される結果、間接的にもヒスパニック系児童生徒の学力が向上する、というわけです。それくらいには委員の持つ資質が子どもの教育に強く影響する制度なんですね。

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