「市民が自治体の課題を自分ごとと捉えていない」のと同じように、「自治体も市民の課題を他人ごとと捉えている」のかもしれない説
まちづくりにおいて市民参加が必要だと言われて久しいが、その参加型手法も日々進歩しているようである。
参考になるものとして、片田江 由佳『持続可能な地域づくりに向けた市民起点の共創活動「リビングラボ」の導入に関する考察―福岡地域戦略推進協議会による取組事例をケースに ―』を紹介する。
「リビングラボ(Living Lab)」という概念があるそうである。論者によって定義が微妙に異なるそうであるが、もっぱらリビングラボは、市民や利用者を巻き込みながら製品・サービスを開発するオープンイノベーションの手法とされていて、2010年頃から日本においても注目され始めた(P42)。
もともとは1990 年代前半に米国で提唱されたもので、1990 年代後半に欧州に渡り、2000年代から欧州、特に北欧にて発展したとされている。2006 年には、リビングラボのネットワーク ENoLLが設立され、欧州を中心とした約 150以上のリビングラボが加盟し、ネットワーク化やノウハウの共有などが進んでいるといいる(P43)。
リビングラボの特徴として、捉えるべき課題の探索段階からユーザー(市民)が参加し、実生活に基づく気づきをもとにアイデアを創出し、さらにそれを実生活の場で検証することで、よりユーザー満足度の高い施策・サービスを生み出すことが期待されるという。主に企業のサービス開発分野で取り入れられ、近年では行政の市民参加の手法でも採用が検討されていると言われる(P44)。
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