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読むまちづくり

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2022年4月の記事一覧

「形而上学的道普請活動(metaphysical road improvement。略してMRI)」の話

これまでの振り返り  今回は前回、前々回の続き。  前回、橋渡し型ネットワークの形成は必ずしも地域団体の持続可能性を高めず、むしろ内部留保を外部へ吸い出すストローとして機能してしまわなかったか、という話を書いた。  しかし、それは前々回書いたように、コミュニティ政策の目標設定がでかすぎるというか、やや風呂敷を広げすぎた結果だったのではないか、と考える。それはどういうことか。再度、京都市の条例に再度目を戻そう。 京都市のコミュニティ活性化条例の想定するコミュニティ形成の機

自陣の防衛のために、喩えるなら「シャフトを爆破したり、通路に硬化ベークライトを注入したりして敵の足止めをする」地域団体のご苦労の話。

前回の振り返り  今日は前回の記事の続き。  前回、ここ20年くらいのコミュニティ政策は、既存の地域組織という結合型ソーシャル・キャピタル同士をつなぐ橋渡し型ソーシャル・キャピタルを増やすことで、地域組織のサステナビリティの向上につながることを期待してきたけど、そうはなってないかもしれないよね問題というのを書いた。  で、それはなんでや、というと、以下のような説明が思い浮かんだ、という話。 コミュニティを交通網のアナロジーで理解する 前回、京都市ではコミュニティをネット

自治体政策としてのコミュニティ政策の「戦略的後退」をめぐる思考メモ

自治体が「地域組織支援策」ではなく「コミュニティ政策」をする、ということの意味 地方自治体はしばしば地域組織を行政末端として利用してきたことは指摘されてきた。

青木真兵『手作りのアジール』を読んで、自分は資本主義の全体主義化から逃げ切れるかどうかを考えた話

 なんだかんだイレギュラーな仕事で伸び伸びになっていたけど、ようやく青木真兵『手作りのアジール』の感想を書ける。  この世のあらゆる価値が経済的な価値で計られ、その尺度が支配的になる状況のことを本書では「資本主義の全体主義化」という。  で、本書のいうアジールとは、その時々の支配的な権力からの避難所のことを指す。例えばかつては山や寺院や河原などがアジールであったし、20世紀の半ばまでは、大学なんかもアジールであったと本書ではいう。  しかし、資本主義の全体主義化が大学内