私、死ぬんですか?と聞いた日。

先日、私は第二子となる次女を無事出産した。

その1週間くらい前のこと。
私はA群の溶連菌に罹った。
妊婦は溶連菌に罹ると重症化しやすいことをその日に知った。

その日、朝から頭痛がしていた。
気圧もあるかなと思い、午前中は横になってうとうとしていた。
お昼前くらいに体を起こし、頭は相変わらず痛いなと思ってとりあえず熱を測った。
その時は37.1℃。
お昼を少し食べ、なんだか体の節々は痛いし熱いなということに気づいた。
とりあえずまた熱を測った。
そのときすでに38.3℃。
やばいな…と直感的に思った。

お昼休憩中だった旦那にすぐ連絡を入れ、とりあえず通院している産科に電話をして指示を仰ごうということになった。

電話をして、コロナ、インフルエンザ、溶連菌の検査をするように言われ、特に溶連菌は妊婦の場合、重症化してしまうということを言われた。

この時の熱はもう39℃近かった。
旦那は半休を取り、戻ってきてくれることになった。


夕方、近くの内科にかかり、検査をしてA群溶連菌であることが分かった。

一応、産科からは検査で何かしら陽性が出た場合は電話をしてくださいと言われていたので、電話をかけた。

そこでA群溶連菌が陽性であることを伝えると、入院の準備をして、急いで病院に来てくださいと言われた。

もともと出産の入院のための準備はしていたので、そのバックをもって病院に向かった。

病院に着き、産科病棟に入るとすぐ内診があり、下からの細菌の検査と赤ちゃんのエコーをした。
ベットに寝かされ、赤ちゃんが元気かどうかを調べる機械をお腹に付け、採血をし、そのまま点滴をつながれた。

そして医師から説明があった。

「A群溶連菌は、妊婦が罹ると重症化しやすく、
そこから劇症型に変わると、急激に症状が悪化し、
最悪の場合、手の施しようがありません。
もしかすると、赤ちゃんもお母さんも助けられないかもしれない。」

私は理解ができなかった。
今、38週だよ?
ここまで二人で頑張ってきたんだよ。
なぜ?と。

私は死ぬのか。
お腹の赤ちゃんも助けられないのか。
そう思った。


それから旦那と私は万が一、帝王切開になった時の同意書を書いたりした。
赤ちゃんの元気がないサインが現れれば、すぐに取り出しますと説明を受けた。

そのあと私は心電図、レントゲンなどをして、そのまま車いすで手術室に
運ばれた。
その間もお腹に機械は付けたまま。

手術台に乗り、横になって看護師さんが準備をしてる時に、
すぐそばにいた旦那と、その看護師さんに私は聞いた。

「私、死ぬんですか?」

そう聞くのは正直怖かったけれど、どうしても聞きたかった。
まさかここまできて、自分がそんな質問をするなんて誰が想像しただろう。
きっとその時の私は、少しでも安心したかったのだと思う。

覚悟を決めておいたほうがいいのかもしれない。
でもここで死にたくない。
守りたいものがたくさんあるのに。

以前の私はそんなこと思えなかったけれど、今は違う。
絶対ここで死ねない。


願いが通じたのか、その夜は一度手術台にはのぼったものの、
早急な抗生剤の点滴と解熱剤の点滴で、症状が劇的に悪化することはなく、個室に移動できた。
その日の夜は、ずっとお腹に機械を付けて赤ちゃんの心拍などを診ていた。

その日から4日間、4時間ごとの抗生剤の点滴と、解熱剤の点滴を入れていた。
普通なら38週にもなれば、いつ陣痛がきてもおかしくはない。

けれどお腹の子は、私が元気になるのを待っていてくれたのだろう。
一生懸命に心臓を動かしながら。

5日間の入院を経て、私は無事に退院した。
最後の血液検査は陰性。
培養の検査結果も後に陰性と分かった。

それから数日後の夜、娘は無事に生まれてきてくれた。
お腹に宿ること、妊娠期間を無事に乗り越えること、
無事に出産を迎えること、元気に生まれてきてくれることは、決して当たり前なんかじゃない。

お腹から出てきて産声を聞いた時、本当にほっとした。
二人とも生きてて良かったと。

実は今回の妊娠中には、22週に入る前に前期破水疑いでの入院もあった。
その時には、
「今破水しているとすれば、少ししたら陣痛がきてしまう。
そうなると、22週以前の胎児は助けてあげられないんだ。」
そう主治医に言われた。

その時も毎日怖くて、生きた心地がしなかったけれど、前期破水は疑いのまま終わった。

赤ちゃんを守りたい
そう思うからこそ毎日不安だった。
生きて生まれてきて…
そう毎日願っていた。
祈るように毎日を過ごした。

そうやって慎重に、大切に生活していたのに何故、出産間近で溶連菌に罹ってしまったのだろうか。

妊娠、出産は命がけ。
命を育み、育てていくということはそう簡単じゃない。

そう改めて気づかされた日々だった。


今、横にいてくれる娘にありがとう。
生きていてくれてありがとう。
ママの娘でいてくれてありがとう。

みんなで力強く生きていこう。





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