ある人に伝えたかった言葉
私は先日、一つの出会いに区切りをつけた。
いつかこのときがくることは、頭の片隅にはあった。
けれどそれはずっと先のことだろうと、どこかで安心していたのかもしれない。
その人は私にとって、沢山の言葉をくれる人だった。
そしてその言葉の意味を教えてくれた。
向かい合って会話したその時間は、とても尊く温かい時間だったと私は勝手に思っている。
もうきっと、その人と会うことも話すこともできないだろうから、
私はここに書くことにした。
二度と伝えられない言葉をここに残すことにした。
私とその人が出会ったのは、十年くらい前だろうか。
私から見たその人は、気に食わない人 だった。
なんかむかつく。そんな人。
<あ、私は一生この人のことは好きにはなれないだろうな…>
そう悟ったくらい。
その後も何度か話したけれど、やはり嫌いだ…と。
でも何故だかその人の言葉の一つ一つは、私の心に残る。
私はそのつど課題を出されているみたいで、いつもその言葉の意味を考えていた。
でもそれがとても楽しかった。
いつしか私はその人をちゃんと信頼していた。
やっぱり気に食わないし、嫌いだけれど、
何故だか信じられる。
そんな不思議な人。
私は一度、その人に言ったことがある。
「あなたのことが嫌いです。多分この先もずっと嫌いだと思います」と。
とても失礼だと思うが、伝えておいて良かったと今更思う。
その人に教わったこと、一緒に考えたこと。
私にとって財産だと言える。
いつか、私がもう少し大人になった時、
もう少し考えられるようになった時、
また向かい合って話ができたらと思う。
叶わないことだけど。
本当は、まだまだあなたに頼りたかったし、
もっと沢山のことを教わりたかったけれど、
でも、背中を押してもらったと思って、私は大切な人と共に、
一日を、人生を、自分を、大切にしながら過ごしていければと思う。
今までありがとうございました。
あなたの言葉をお守りにして、大切にしていきます。
でも、私はやっぱり、
あなたのことが嫌いです。
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