![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/40993196/rectangle_large_type_2_314c1060af7fc55edc037006f35c39cd.jpg?width=1200)
ノンマリ連載短編小説 「龍のコインが来て、そして」 #7 あ、うんの呼吸
7.
『あ、うんの呼吸』
オフィスからの帰り道、めずらしく神社にお詣りした。狛犬さんが、あ、うん、と両脇に鎮座している小さな神社。龍のコインが来てからというもの、小さな不思議はあるのだけれど、決定的にいいことがあるわけでもないこともあって、つい、神様を試してみたくなった。で、「神様、おられるんだったら、その存在を私にも示してください」とお願いをしてしまったのだ。
神社の近くのカフェに入った。珈琲をたのんで、ああ、シュークリームもつけたいけど、つけたら効果てきめんだと思って、あきらめた。
そうしたら、あうんの呼吸というのだろうか、店員さんが「お客さま、もしよろしければこのシュークリーム、サービスでおつけしますので召し上がって下さい」と言ってくれたのだ。たぶんバイトの、まじめそうな男の子。
ああ、やっぱり、神様はいたんだ。お願いしてからあっという間だった。あうんの呼吸で、私のリクエストに応えてくれたのだ。
—第8話につづく
龍のコインが来て、そして / 中臣モカマタリ
龍の模様が刻まれたコインを手に入れた「私」に起こる、ささいだけれど不思議なできごとをオムニバス形式でつづる連作。
「nonmari(ノンマリ)」
おひとりさまのおひとり時間に寄り添うWEBマガジン「nonmari(ノンマリ)」。ひとりで過ごす夜をテーマに、短編小説やエッセイなど更新しています。 お仕事を終えてほっと一息ついた時、寝る直前のベッドの中で。おひとり時間を過ごすあなたが、心おだやかな夜をすごせますように。