シン吾輩は猫である(シン・シリーズ0)
キャットフードの缶詰を自分で開けることが出来るようになれば、もうそれは猫とはよべず、最近ではネコ人間と呼ばれているネ。
もっともその存在は古くから人間にも知られていてネ、昔の人はそういった高い能力を持った猫を化け猫として恐れていた一方で、招き猫のような神様として祀ってもいたらしいネ。つまりそれくらいネコ人間と人間との関わりの歴史は深くまた身近だったわけで、最新の研究ではかの夏目漱石先生も実は猫だったのではないかと疑われているネ。
ネコ人間に関する研究も進んだ現在、ネコ人間の社会進出も進んでいるネ。それで最近ではネコ人間検定を受験する猫も急激に増加しているということだネ。
ネコ人間検定(以下ネコ検)は8級から1級まであって、1級ネコ人間はもう人間に飼われることはなく、(そもそもネコ人間は扶養家族扱いなのだがネ。)自立した一般市民として選挙権と市民権が与えられ、同時に納税の義務も発生するんだネ。海外へ渡航する際にはパスポートも必要になってしまうネ。
一級ネコ人間の中には、元の飼い主を逆に養っている義理堅いネコもいて、美談としてニュースに取り上げられたりすることもあるネ。
しかし多くのネコ人間たちは、より公平なネコ人間の地位向上を求めているネ。彼らはネコ検制度を撤廃し、すべての猫の希望に応じたネコ人間権を主張しているのだけれど、ネコ人間が準人間であるという従来からの主張を改めようとしない人間側と真っ向から対立しているネ。
でもそんなネコ人間たちの様子を見て、「猫のくせにバカな奴らだ」と従来の猫たちは陰口を言っているのだそうだネ。
(2019年6月SSGに投稿したものを加筆修正:ネコ人間改題)200206