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木露尋亀ノノート
2021年8月23日 12:35
「たのしみだなあ」少年は白い包帯で覆われた目で遠くを見るようにしてそういった。 もしかすると少年はそのときすでに、包帯の下で閉じられた瞼越しに淡い光を感じていたのかもしれない。包帯が取れたらパリのルーブル美術館へ行いけるのだ。そして夢にまで見たモナリザを見ることができるのだ。「たのしみだなあ」少年はまた遠くを見るように、まるでそちらの方向にパリがあるように顔を上げてそういった。 少年は生まれ