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【イタリア・スイスの旅】13日目:ピラトゥス山でロングスライダーに挑戦

【13日目 8月9日(木)】
9:00  ルツェルン発・電車でアルプナハシュタットへ
10:30 登山鉄道でピラトゥス山頂へ
11:00 ピラトゥス山頂
12:00 フレクミュンテック
13:30 クリーンス
15:30 ルツェルン発・チューリッヒへ
16:30 チューリッヒ着
17:00 チューリッヒ散策
17:30 フラウミュンスター(聖母教会)
19:00 ディナー@Ristorante Bianchi
 
当初は朝のうちにチューリッヒに移動する予定だったが、前日に雨のせいで行けなかったピラトゥス山に登ってから夕刻のチューリッヒ入りを目指す。時短する必要があるため、ルツェルン湖遊覧船に乗るのは諦めた。船だとルツェルン中央駅そばの船着場からアルプナハシュタットまで1時間以上かかる上に始発が9時半過ぎと遅めなのだ。電車だと15分ほどで着く。中央駅近くの荷物預り所に大きな荷物を預けて電車に乗り込む。(わざわざ荷物預り所に行かなくとも駅にコインロッカーが潤沢にあった。)
<MEMO>ルツェルンとピラトゥス山を往復できるラウンドトリップチケットには、アルプナハシュタットまで遊覧船で行くチケット(ゴールデントリップ、2等大人113.80フラン)と電車で行くチケット(シルバートリップ、2等大人88.20フラン)の2種類がある。(スイスハーフフェアカード適用可)
アルプナハシュタットからピラトゥス山頂までのケーブルカーは、オンラインで時間指定の予約が可能だが、1人につき5フランの予約料がかかる。ちなみに、始発の遊覧船からの乗り継ぎでちょうどいい時間のケーブルカーは前日の時点で完売していたので遊覧船で行く場合は予約した方がよさそう。
 
さて、9時半前にアルプナハシュタットに到着したわたしたちは、9:55の登山鉄道に乗る予定だったのだが、列の1つ前の人たちで9:55のチケットが完売してしまったため、10:25まで待たなければいけなくなってしまった。早くチューリッヒに行きたいのに。急ぐ旅は好きじゃないのに、予定が狂うと気が焦ってしまう。
どうせなら一番前の席に乗ろうということになり、列の先頭で並んで待って一番前の席に座ることができた。先頭車両は運転手さんと同じ車両で、壁に隔てられることなく運転手さんのすぐ隣に座ることができる。運転する様子や急勾配の線路を見ることできる最高の席だった。1時間待った甲斐があった。これこそ怪我の功名というやつだ。

歯車式登山鉄道では世界一の急勾配だそう

30分ほどで山頂に到着。山の上はやはり雲が多く、すっきり快晴というわけにはいかなかったが、眼下に湖、遠景にアルプスの山々を見ることができた。だが、ピラトゥス山での最大のお楽しみは、急勾配の登山鉄道でも山頂からの景色でもなく、中腹のフレクミュンテックにあるスライダーだ。時間も限られているので山頂で長居はせず、早速ゴンドラリフトでフレクミュンテックへと下る。
 
フレクミュンテックにはスライダーだけでなくアスレチックもあり、1日楽しむことができそうだが、時間がないのでわたしたちはスライダーのみを目指す。スイスの大自然の中をソリのようなものに乗って1キロ以上も下るというのだから楽しくないわけがない。かなり並ぶのではないかと恐れていたが、意外と行列は短くて45分待ちとのこと。実際には30分くらいしか待たなかったと思う。子どものようにワクワクしながら並び始めたのだが、本来怖がりのわたし、自分たちの番が近づくにつれて緊張してくる。70代の父は大丈夫だろうか?子どもと一緒で大丈夫だろうか?とどんどん不安になってくる。そんなわたしをすぐ前に並んでいた赤ちゃん連れの妊婦さんの存在が勇気づけてくれた。赤ちゃんと妊婦さんが乗れるくらいなのだから大丈夫に決まっている。

緊張しながら自分たちの番を待つ

わたしたちの布陣は、先鋒が長女、次鋒が夫&息子、その次がわたしと次女で、殿(しんがり)は父だ。ついに自分たちの番が回ってきた。奥に倒すとアクセル、手前に倒すとブレーキになるレバーが付いている。恐る恐る奥に倒すと動き始めた。坂道を下り、どんどんスピードが上がる。自然とレバーを握る手を手前に引いてしまう。「ぎゃー!」と叫ぶわたしをよそに、前に座っている4歳の娘は笑いながらわたしの手の上からレバーを握り、奥の方へと力を入れる。おかげでノロノロ運転を免れ、風を切りながら滑り降りることができた。それでも1つ前の夫&息子から1分くらいの差がついていたそうで、「遅すぎ!」と笑われた。殿の父はさらに遅れて到着。次の集団は団子になって父のすぐ後ろにいた。申し訳ない。帰りはソリに乗ったまま後ろ向きでロープに引っ張られてスタート地点まで戻るのだが、その光景が滑稽で笑えた。
<MEMO>チケットは現地販売のみ。大人9フラン、子ども(8-16歳)7フラン、子ども(6-7歳)5フラン、幼児(5歳未満)無料。8歳未満は16歳以上の大人との同乗が必須。ブレーキを操作する必要があるため、滑降中のスマホでの写真撮影は禁止。スマホを固定して首から掛けられるようにする器具を売店で購入/レンタルが可能。
 
フレクミュンテックからロープウェイで下山し、クリーンスでランチを済ませてチューリッヒへと向かう。この時点でもう15時過ぎなのでチューリッヒをゆっくり観光することはできないが、1箇所だけどうしても行きたい場所があるので先を急ぐ。
 
チューリッヒはとても美しい街だった。こんなに有名な大都市なのに、中央駅前を流れるリマト川の水は信じられないくらいに澄んでいる。トラムが行き交う風景もよい。ホテルでチェックインを済ませるとすぐに出掛けた。向かう先はフラウミュンスター(聖母教会)。シャガールが手掛けたステンドグラスがあることで有名な教会だ。

遠くに見える尖塔(左)がフラウミュンスター

閉館間近のフラウミュンスターは空いていて、シャガールのステンドグラスを思う存分堪能することができた。シャガールは昔から「なんとなく好き」な画家だ。シャガールの何が好きなのか、うまく説明することができない。端的に言えば感性に訴えてくるものがある、ということなのだけど、独特な色彩や幻想的な美しさが心を優しくじんわりと満たしてくれるから好きなのだと思う。ステンドグラスという媒体は、彼の持ち味や世界観にものすごく合っていると思う。内陣の5連のステンドグラスはもちろんのこと、その手前にあったバラ窓のステンドグラスもとても素敵だった。このバラ窓はシャガールが90代の時に手掛けたのだそう。写真を載せられたらよいのだけど、フラウミュンスター内部は撮影禁止のため撮影できず。(平気で撮影している人がいて、しかも邪魔だからどけという態度を取ってきたことにはさすがに腹が立った。)
イギリスはチチェスターの大聖堂にもシャガールが手掛けたステンドグラスがあるらしいので、いつか訪れてみたいと思う。
 
フラウミュンスターを出て、ミュンスター橋を渡るとヴァイオリンの美しい音色が聞こえてきた。しばらく立ち止まって聴いていると、爆音のクラブミュージックが流れ始めてヴァイオリンの音がかき消されてしまった。どうやら近くでビール会社主催の野外イベントが始まるらしい。ヴァイオリンが聴きたいのに、イベントの音楽は部外者には騒音でしかない。騒音から逃れるようにまた橋を渡って左岸に引き返し、リマト川沿いを散策した。唯一の後悔は、夕食のレストランを探すのに必死でリンデンホフの丘に登り損ねたことだ。ここも「愛の不時着」のオープニング映像のロケ地になった場所らしい。「愛の不時着」抜きにしても、チューリッヒの美しい街並みを一望できる機会を逃したのは本当に残念。今夜はこの旅行での最後の晩餐になるので、右岸の川沿い(リンデンホフの丘のちょうど向かい辺り)のちょっとリッチなシーフードレストランで食べることにした。高級レストランだけあってサービスも味も素晴らしかった。
 
いよいよ明日は旅行最終日。明日は朝一でチューリッヒ動物園に行き、午後の便でロンドンに帰る。

チューリッヒは夜景もきれいだった(これは中央駅前)

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