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子連れで訪れた陶器の街ストーク・オン・トレントでバーレイが大好きになった

イングランド北部、リバプールやマンチェスターの少し南にストーク・オン・トレントという街がある。日本でもよく知られているウェッジウッド発祥の地であり、陶器の街として日本人駐在員に特に人気が高い。ファクトリーにはアウトレットショップが併設されており、日本で買うよりも安く買うことができる(場合もある)のだ。※カッコ付けをしたのは、ポンド高というか円安の影響で、円換算すると「あれ、日本で買うほうが安いのでは!?」という商品もあったりするから。

さて、わたしは元々インテリアやキッチン雑貨には無頓着で全然詳しくもないのだが、友達から話を聞くうちに行ってみたくなり、日に日に想いが募っていった。しかし、子連れには不向きな旅先のように思っていたのでなかなか実現できずにいたところ、友人からウォータースライダーが充実したプールの存在を教えてもらい、これなら子どもたちも楽しめそう!とプールを餌に子連れ旅行の計画を立てることにした。

1日目はプールに行き、2日目に窯元をいくつか回るというのが今回の旅のおおまかなプラン。


Day 1

土曜日の朝に子どもたちの習い事を済ませ、遅めの出発でストーク・オン・トレントへ。いくら屋内プールと言っても、こんな真冬にプールに行く人なんてあまりいないのでは?と思っていたが、念のため朝のうちに2時入場のスロットでプールを予約。早めに街に着いたので、プールの前にポートメリオンのアウトレットに立ち寄ることにした。

ポートメリオン(Portmeirion)

ポートメリオンのアウトレットには、定番の植物柄の他にウィリアム・モリス柄の食器やシンプルで使い勝手の良さそうな食器がたくさん並んでいた。手前の方はわりときれいにディスプレイされていたが、奥の方は倉庫のように雑多にメタルラックに並べられていて、どれもかなり安くなっていた。サイズがちょうどよくて、デザインもシンプルで絶対に使えるなという食器があってレジに並んだものの、しょっぱなから購入して翌日の本命でこれが足枷になって買えなくなったら嫌だな、と思い直して直前で取りやめ。明日まで欲しい気持ちが残っていたらまた来ることにしようと、何も買わずにお店を後にした。

ウィリアム・モリスもいいよね
この雑多感…

プール(Waterworld)

宿はプールに隣接するダブルツリー・ヒルトンを予約していたので、ホテルの駐車場に車を停めてチェックイン。プールとホテルの移動が楽チンで、ここにして正解!(ダブルブッキングでキャンセルしてくれたエアビーありがとう。笑)そして、いよいよプールへ。着いてみたら極寒の季節にもかかわらず、意外にも盛況だった。この日の天気は雨。全天候型の屋内プールは逆に混むのかもしれない。

1年以上プール教室に通ったのにまったく泳げない子どもたちであるが、水遊びは好きなので波の出るプールやウォータースライダーに大喜びではしゃいでいた。スライダーは小学生以上の子のほうが楽しめそうな本格的なものも多く(身長制限あり)、ファミリーだけでなく友達同士で来ているティーンも多かった。ちなみに、110セン未満の子どもは入場料から£4引いてもらえる。(通常料金は£24、2歳未満は£7)日本ではたいして珍しくないレジャープールだが、イギリスでは見たことがなかったので、子どもたちに体験をさせてあげられてよかった。

しいて難点を挙げるとすれば、寒かったことだ。水温は冷たくなかったのだが、室内をもう少し暖かくしてほしかった。もしくは、ジャグジーのお湯を暖かくするか、無料の採暖室があったらうれしかった。(£3.5払えば温風が出て身体を乾かせる個室ならあった。高いよ!!)残念ながら南国気分は味わえなかった。(そもそも、そういうコンセプトではない。)

たっぷり3時間ほど遊んでホテルへ。プールでくたくたに疲れていたので夕飯もホテルのレストランで食べて、早めに就寝。

Day 2

前日の早めの就寝がきいて、6時半には目を覚ました子どもたち。ファクトリーショップはどこも10時にならないと開かないのでもっとゆっくり寝ていてほしかったのだが仕方ない。ホテルの朝食は高かったので申し込んでおらず、近くのマックへ。ホテルを出る頃に降り出した雨はすぐに雪へと変わった。ロンドンより北に来たせいだろうか、とにかく寒い。

せっかく早起きをしたのだし、運河のまわりを散策したかったのだが、とてもそんな気分にはならず、ホテルでダラダラ過ごす。開店時間めがけて、まずはバーレイの窯元へ。今日はバーレイ→エマ・ブリッジウォーター→(ポートメリオン)→ウェッジウッドと回る予定だ。

バーレイ(Burleigh)

歴史あるバーレイのファクトリー

バーレイは1851年に創業した老舗の陶磁器メーカー。Burleighさんが創業したのだとばかり思っていたが、BurgessさんとLeighさんという、二人の経営者の名前をくっつけた名前だそう。(しかもその二人は創業者ではなかった。)創業から170年以上、当時のままの手作業で今も職人さんが一点一点手作りしているという。商品はすべてMade in Englandだ。安価な輸入品が大量に流通する中で、手作りで高価な食器を作るバーレイは何度か存続の危機を迎えたらしい。

ここミドルポートの工場も1990年代に老朽化で閉鎖の危機を迎えたそうだ。工場を修繕する余裕もなかった会社に救いの手を差し伸べたのが、当時皇太子であったチャールズだった。彼が運営する慈善団体による寄付金により修繕され、工場を再開することができたという。重要文化財にも指定され、今は観光地にもなつわている。古き良き時代の趣きを残す煉瓦造りの素敵な建物だ。

ショップにはチャールズ3世の写真が飾れていた

ファクトリーショップは1階がアウトレット、2階が正規品の売り場になっている。バーレイはわたしたちのような庶民にはお高いので、アウトレットの中から掘り出し物を探す。

ディスプレイも素敵なバーレイのショップ

使い勝手の良さそうなキャリコの小皿を色違いで5点(£21→£14.5)と子どもたちが気に入ったキャリコの猫柄のシリアルボウル(£25.5→£17.5)を購入。あとは、念願のカウクリーマー(£75→£52.5)も購入することができた。前日まで「君、ブラック派だよね?要らないよね?」と言っていた夫だが、実物を見て気に入った様子。子どもたちのミルクティー好きとミルクをマグカップで温めて子どもたちのコップに移すたびにポタポタミルクが垂れてしまう苦労を必死に力説したが、その必要もなかったかもしれない。とにかく、可愛すぎて泣く子も夫も黙る、置いておくだけで幸せな気持ちになれそうな一品だ。後日談だが、さっそく家で使ってみたが、見た目が可愛いだけでなく、持ちやすくてとても使いやすかった。

口からミルクを出す牛さんに子どもたちも大喜び

買い物を終え、ファクトリー併設のカフェへ。食器はもちろん全部バーレイ!と思ったら、何も考えずに頼んだカフェラテが何の変哲もないグラスに入って出てきた。残念すぎるのでティーを追加。カップとソーサーが柄違いでも、全体として統一感のある素敵な食器たち。映える!トワイニングのティーバッグですら、感動するほど美味しく感じる。元々コーヒー党だったけれど、イギリスに来てだんだんと紅茶が好きになってきた。

こんな朝食を家でも出したい

我が家にも午後の紅茶文化を取り入れるべく、ショップに戻ってお値打ち価格のティーポット(£118→£40!)とカップ&ソーサー(カップとソーサーが色違いのためか£12という破格)を購入。普段はキツめな財布の紐がここぞとばかりに緩みまくる。

だってこんなに素敵なんだもん

ファクトリーショップには製造過程が分かる展示があった。昔ながらの銅板転写という方式で一点一点手作業で柄付けを行っているそうだ。残念ながら週末はファクトリーツアーを開催しておらず叶わなかったが、いつか平日に訪れてツアーに参加したい!!

焼くと色が変わる不思議。科学ですね

買い物の後は、工場周辺を少し散策。窯の大きさに圧倒される。思っていたよりずっと大きかった!やっぱり実物を見るって大事。工場を訪れたことで、子どもたちも食器に対する愛着が湧いた様子だ。

大きさが伝わるかしら。イギリスは今日も曇天です

普段イ◯アのプラスチックの皿などを雑に扱っている子どもたちに、大量生産ではない昔ながらの製法で一点一点作り上げた上質な陶器の良さなど分かるわけがない、窯元めぐりなんて退屈するに違いない、とはなから決めつけていたが、本物の良さというには子どもたちにも分かるものなのだと感動したし、素直にうれしかった。帰宅後に我が家にあったバーレイもどきと比べたら、柄の美しさが全然違うことは子どもたちの目にも一目瞭然であった。壊してもいい物を与えるばかりでは、子どもたちが物を大切に扱うことを学べないということにも気付かされた。

エマ・ブリッジウォーター(Emma Bridgewater)

エマ・ブリッジウォーターのエントランス

さて、お次はエマ・ブリッジウォーター。ポップなデザインで若い世代に人気のブランドだ。1985年創業で40周年記念アイテムが発売されているという。「ん…?わたしと同い年ではないの!」ということで、うれしくなって40周年記念マグとティータオルの購入を即決。気が大きくなって、記念にみんな1つずつお気に入りのマグを買おう!と提案。好きなものが明確な子どもたちは、あまり悩むことなくそれぞれお気に入りを見つけた。子どもたちのマグカップはアウトレットで£5ずつ安く買うことができた。エマのマグカップはずっしりと重量があって子どもにはちょっと重いけれど、長く使ってもらおうと思う。

40周年の記念アイテムたち

可愛くて大好きなエマだけど、そもそもバーレイで買いすぎているし、可愛すぎて普段使いがちょっと難しいのでこれ以上の散財は自粛。こちらにも併設のカフェがあるが、そんなに広くないのでアフターヌーンティーはすぐに予約が埋まってしまう。心浮き立つような可愛いエマの食器はティータイムを彩ってくれるんだろうなぁ。

ウェッジウッド(Wedgwood)

まだ十分に時間があったが、前日に買うか悩んだポートメリオンには寄らず、ウェッジウッドに直行してミュージアム(V&A Wedgwood Collebtion)に行くことにした。ウェッジウッドは、バーレイやエマのような煉瓦造りの趣きある建物ではなく、コンクリート製の近代的な建物だ。入口前で出迎えてくれたのは、この街が陶器の街として栄えるきっかけを作った人物、ジョサイヤ・ウェッジウッド。

今から300年も前に生まれたジョサイヤ・ウェッジウッド(1730年生まれ)

陶芸家の家に生まれ、14歳で作陶を開始したというジョサイヤは、めきめき頭角を現し一代で財を成した人物だ。ミュージアムでは、彼が実業家であると共に、人一倍探究心の強い芸術家であり、科学者であったことが展示と共に紹介されている。世界中から陶磁器を集め、模倣し、自分のデザインを作っていく過程を見ることができた。ケンジントンにある本家V&Aミュージアムにも、古代ローマ時代の作品と18世紀にジョサイヤが作ったジャスパーウェアの作品を見比べる展示があったことを思い出した。

多種多様な作品群にウェッジウッドの探究心の強さを感じる

ミュージアムを訪れたあとは、併設のファクトリーショップへ。ここにはウェッジウッドの商品だけでなく、ロイヤル・ダルトンやイッタラ、アラビアの商品が並んでいた。なぜフィンランドのブランドが?と思って調べたら、ウェッジウッドは2015年にフィンランドのフィスカース社の傘下に入ったらしい。使い勝手の良さそうなロイヤル・ダルトンや元々好きなイッタラに惹かれたものの、わざわざここで買う必要ないよねと思い、購入は見送った。

そして、いよいよ本日のフィナーレ、アフターヌーンティーの時間である。ちなみに、朝バーレイで会った日本人ファミリーに、エマでもここでも遭遇。同じルートですね!とお互いに笑った。王道の回り方だと思われる。

ウェッジウッドの食器は結婚式の引出物の印象が強く、古典的で優美すぎるデザインはあまり自分のテイストではないと思っていたけれど、シックなトーンで統一された食器はどれも素敵で、そんなウェッジウッドの食器でいただくお茶やお菓子はとても美味しかった。イギリスに来て「これだけは日本で食べるよりも絶対に美味しい!」と思えた食べ物は正直あまりないのだが、スコーンだけは別。ここのスコーンもやはりサクッとしていて小麦とバターの味がしっかりして美味しかった。クロテッドクリームとジャムをこってり塗って、美味しい紅茶と共にいただくスコーンは格別だ。

ウェッジウッド氏に見守られながらのアフターヌーンティー

ティールームにはわたしたちのような観光客の他に、ベビーシャワーや大人のバースデーパーティーに集う人たちがいた。各々のテーブルに楽しい時間が流れていて、とても幸せな気持ちになった。贅沢なひとときを過ごし、16時過ぎにウェッジウッドを後にして一路ロンドンへ。

おわりに

一般道が事故で渋滞していたので、帰りは有料道路を使った。行きは一般道を使ったが、Googleマップによる到着見込みは2分くらいしか変わらなかった。ロンドンから車で3時間ほど。電車だとユーストン駅から約2時間なので電車でも行きやすいが、ファクトリーが点在しているので現地での足と戦利品を持ち帰ることを考えたら車がベター。ただ、次はバーレイのみを訪れるために行くのもアリだと思っているので、何とか平日に行ける日を見つけて電車で再訪したい。次は何を買うか、その日まで想いを温めておこうと思う。

いつか、また来るからね!

子どもたちが手を滑らせたり服を引っかけたりして食器を割ってしまわないかハラハラドキドキして少し気疲れしたけれど、飽きてしまうのでは?という心配とは裏腹に彼らもおおいに楽しんでいた。2日目はお母さんデーだからね、と話していたのだが、息子は寝る前に「お母さんデーじゃなくて、みんなデーだったね!」と言ってくれた。

家族みんなの戦利品たち

今回もまた長々と駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました。では、また!

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