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【リスボンの旅】3日目:リスボン街歩きとグルベンキアン美術館で過ごす贅沢な昼下がり

【3日目:11月2日(土)】
今日は終日リスボン観光。行きたいところがありすぎて最後までプランを決められず、あとはその時の気分で決めよう!ということで、スタートとゴール(夕食のレストラン)だけ決めて8時過ぎに宿を出発した。

最初に向かったのは28番のトラムの東側の始発駅であるマルティン・モニス駅。28番のトラムは長蛇の列だとか車内は芋洗い状態だとかそんな噂ばかり聞いていたので、息子がいなければ乗ろうとは思わなかったと思うが、大の電車好きの息子に一番人気のトラムに乗せてやりたいと思ったのだ。

わたしたちが到着した8時20分にはすでに行列ができていたが、この時点ではまだ50人ほどだっただろうか。時刻表によるとだいたい10分に1本くらいの間隔で運行しているということだったが、全然来ない。20分ほど待ってようやく来たのはトラムではなく小型バスだった。「え??」となりつつも列の前の人から乗り込んでいき、バスは出発。列に並んでる他の人たちに聞いてもみんな観光客だからわたしたちと同じように状況を理解できていない。次に来るのもバスなんだろうか?別の路線を検討したほうがよいだろうか?と悩みながらさらに待つこと30分、またしても小型バスが今度は2台立て続けにやってきた。この頃には道を渡った先まで行列が伸びていて、ザッと100人以上並んでいたと思う。とりあえず乗ろうということになって2台目のバスに乗り込んだ。

並んでる人全員をガッカリさせるバス

しばらくバスに乗っていたらグラッサ駅に着いたところで何の事前説明もなく突如乗客全員が降ろされた。少し先に古めかしい28番のトラムが待機しているのが見え、バスから降ろされた人たちはゾロゾロとトラムに乗り換えた。この不親切なオペレーションなんなん?と怒りたくもなるが、無事に乗ることができたのだからよかったじゃないの。わけわからず振り回される感じも旅行っぽいじゃないの。

ようやく乗れたリスボン名物のトラム

ここから先が28番のトラムの名所と言ってもいい。細い道を壁スレスレで通り抜け、見晴らしのいいサンタ・ルジア展望台に出る。リスボン大聖堂の横を通ってコメルシオ広場へ。途中の停留所で後ろのドアの押し開けて降車した乗客を見て、「なるほど、降りるときはそうやって降りるのね」とわたしたちもコメルシオ広場近くの停留所で後ろのドアから降車を試みたところ、血相を変えてやってきた運転手に「あんたの国じゃどうか知らないけど、この国では降りるときはベルを鳴らすんだよ!客を降ろすのは俺の仕事だ!」と英語で怒鳴られた。夫でもなく、同様に降車を試みた白人男性でもなく、わたしひとりが。そうだったのね、ごめんなさい。でも、それなら前の停留所で気づくべきだったんじゃないの?と言い返したくなる気持ちを抑えて、気の弱いわたしはひたすら謝った。一体どこに降車ベルがあったのか、全然気がつかなかった。

なんだかちょっと後味が悪かったけれど、気を取り直してアウグスタ通りを通り、凱旋門のアーチをくぐって広場へと向かう。広場は観光客や出発前の集団ランナーなどで賑わっていた。広場の像の脇にもゾウさんがいた。この広場は別名テレイロ・ド・パソと呼ばれる。「宮殿広場」という意味らしい。ここには昔、宮殿があったそうだ。1755年のリスボン地震の津波で崩壊し、以降再建されることはなく、広場だけが再建されて今日のコメルシオ広場になったのだそう。

ジョゼ1世の騎馬像と勝利のアーチ(凱旋門)

コルメシオ広場の川に向かって左手に「地球一セクシーなトイレ」という名のトイレがあった。Renovaというポルトガルのトイレットペーパー会社が運営しているらしい。どんなトイレなのか気になって覗いてみたが、€4もする上にちょっと18禁っぽい感じのセクシーな写真がチラッと見えたので断念した。わたしだけ入っちゃう?とも考えたが、夫にドン引きされそうだったのでやめておいた。

ちょっといかがわしい感じがする

コメルシオ広場からテージョ川沿いを西に向かって歩くことにした。岩に色をつけてパブリックアート(?)を制作中の人がいて、通行人はみんな興味津々で覗いていた。

テムズ河畔でもこんなおじさんを見かけたことがある

天気が良くて気持ちいい。サンフランシスコのゴールデン・ゲート・ブリッジによく似た4月25日橋がよく見える。この橋だけでなく、リスボンとサンフランシスコはちょっと似ている気がする。坂道が多くて、トラムが走っていて、海(リスボンの場合は川だけど、ほぼ海)に面していて、シーフードが美味しい。

アメリカ人も「ゴールデンゲートブリッジじゃん!」って言ってた

お腹が空いてきたのでフードコートのTime Out Marketに入った。マーケットの中央入口から入って右手には地元の人が行き交う生鮮市場、左手には観光客向けのモダンなフードコートがある。生鮮市場を覗いてからフードコートに行った。まだ11時で人が少なく、いくらでも空席があった。一部まだ開店していないお店もあったが、ほとんどのお店がすでに営業を開始していた。生牡蠣やシーフードのグリル、タコの料理、ハンバーガーなどを複数のお店で注文した。価格は観光客向けで高め。わたしたちが食べ終わった12時頃には混雑してきて席の争奪戦になっていた。

11時だとこんなに空いてる

フードコートを出て、次はすぐ近くのフリクラ(ケーブルカー)、ビッカ線の乗り場へと向かう。このビッカ線もトラム28番と同様にリスボンらしい風景を拝める人気路線だ。乗り場には行列ができていた。わたしはバイロ・アルトを散策したかったので、ここでしばし別行動をすることにした。フニクラだと一瞬で登れるこの坂道は、歩くと結構しんどくて息が上がった。30分ほど街歩きをしたのち、坂の上で家族と合流した。今のところ、完璧なエグゼキューションだ。(自画自賛)
<MEMO>フニクラも€3.8と高いので、1日乗車券またはリスボアカードで乗るのがお得。

夫と子どもたちが乗っているフニクラを坂の上から撮影

ここから先が悩ましかった。サン・ジョルジェ城やリスボン大聖堂などの王道観光地に行くか、子どもたちがあまり喜ばないかもしれない美術館に行くかを決めかねていたのだ。でも、前から行きたかった美術館に行かなかったらきっと後悔すると思い、家族にも相談して美術館に行くことに決めた。美術館は少し離れた場所にある。1日目に阿夫利に行くために降りたバイシャ・シアード駅から地下鉄に乗ってグルベンキアン美術館へと向かった。

地下鉄のサン・セバスチャン駅を出ると、旧市街とは全く違ったリスボンの風景が広がっていた。モダンなビルが立ち並ぶ風景は、ここは東京かしら?と思う雰囲気だった。しかし、美術館のある公園に一歩足を踏み入れると、そこは都会の喧騒から隔絶された楽園のような空間だった。

まず現れたのが、グルベンキアン財団が運営する現代美術館(通常CAM)だ。4年間の大規模改修工事を経て、今年9月にリニューアルオープンしたばかりだそう。設計を担当したのは、隈研吾。エントランス前の部分はEngawaというらしい。離れたところから見たときは「ん?縁側?」と思ったが、下まで来ると確かに縁側っぽい。現代美術館では日本人アーティストの特別展が開催中だったが、まずは本家グルベンキアン美術館へと向かう。

Engawaの下はなんか落ち着く空間だった

現代美術館を抜けると、工事中の野外劇場があり、さらに進むと森のような空間が広がっていた。暖かな午後の光が差す自然豊かな庭園を歩くのは最高に気持ちがよかった。この素晴らしすぎる庭園を設計したのも世界的に有名な造園家だそうだ。この庭だけでも来てよかったと思える。

庭園はまさに都会のオアシスだった

庭を抜けるとグルベンキアン財団のオフィスがあり、オフィスをぐるっと回ると奥に美術館のエントランスが見えてくる。この財団のオフィスもまた、ブルータリズム建築っぽくてカッコいい。調べてみたら2023年にマックスマーラのコレクションの舞台としてこの庭園が使われたらしい。建物をバックに写るモデルさんたちの写真がいっぱい出てきた。

ブルータリズム建築っぽいグルベンキアン財団の建物

グルベンキアン美術館の建物もちょっと古めかしい感じで、上野の西洋美術館を彷彿とさせる感じだ。中も昭和感があって、とても好きな雰囲気だった。この美術館は、カルースト・グルベンキアンという実業家(石油王)の個人コレクションを展示するために本人の遺志によって作られた美術館だ。所蔵作品は古代エジプトの工芸品から印象派の絵画まで多岐に亘り、元々個人のコレクションだったとは思えないほどの充実ぶりだった。1時間くらいで見られるのでは?と思っていたが、2時間近く滞在してしまった。そして、意外にも子どもたち(特に息子)も飽きずに熱心に鑑賞していた。この美術館については、いつか別の記事にまとめようと思う。

イズニク陶器のコレクションが素晴らしかった

<MEMO>日曜日の14時以降は入館無料。13~29歳は15%オフ、リスボアカードがあれば20%オフになる。

そんなわけで時間が押してしまったので、現代美術館(CAM)は諦めた。日没前にリスボンの街を俯瞰で見下ろすことのできる展望台に行きたかったので、Uberで旧市街まで戻ることにした。向かった先はセニョーラ・ド・モンテ展望台。すでにだいぶ日が傾いていて、1日目にサンタジュスタで見たようなオレンジ色の屋根と青い空という鮮やかなコントラストは拝めなかったが、サン・ジョルジェ城やテージョ川を望む素晴らしい眺めだった。

セニョーラ・ド・モンテ展望台からの眺め

レストランの予約時間までまだ少し時間があったので、別の展望台まで足を伸ばすことにした。途中で今朝臨時バスからトラムに乗り換えたグラッサを通った。この辺りではたくさんのストリートアートを見ることができる。有名なアーティストの壁画もあり、ストリートアートツアーの団体も見かけた。もっと時間があれば参加したかった!後で調べたらポルトガルではバンクシーに並ぶほどの人気を誇るポルトガル出身のストリートアーティストVhils(ヴィールス)やシェパード・フェアリーの壁画もこの近くのセニョーラ・ダ・グローリア通りにあったようだ。リサーチ不足が悔やまれる。Googleマップにも出ているので、興味がある人は探してみて!

このエリアは壁=キャンバス

シントラ名物ケイジャーダのお店を発見して購入し、グラッサ庭園周辺に立ち並ぶ露天を見ながらグラッサ展望台へ。太陽は先ほどよりもさらに落ちて夕焼け空になっていて、夕陽が沈みゆくリスボンの街はとても美しかった。

グラッサ展望台からの眺め

先ほどまでいた展望台から見えた新型のフニクラに乗ってみよう!ということになった。乗り場まで行ってみるも無人で他に乗車待ちの客もいない。ゴンドラは下に停まったままだ。本当に動くのかしら?と半信半疑で待っていると少しずつ人が集まり始めた。そして、5分ほど経った頃にゴンドラが動き始めた!グラッサ展望台とマルティン・モニスを結ぶフニクラは今年新たにオープンしたばかりだそう。わずか1分弱の短い区間だが、ここからの景色は絶景なのでおすすめ!さらにおすすめポイントは、このフニクラは無料で乗車できるということ。わたしたちだけでなく他の乗客も皆naveganteを握りしめていたが、支払いを求められることはなかった。わたしが見たサイトには1日乗車券で乗れるというようなことが記載されていたので今後有料化されるかもしれないけれど、少なくとも2024年11月時点では無料だった。

先頭で待ってた特権でベストポジションを確保できた

フニクラを降りてから15分ほど歩いて夕食のレストランへ。今夜は18時にシーフードリゾットで有名なUmaを予約しておいた。時間ぴったりに到着して席に案内してもらった。18時〜20時の時間帯は予約してないとちょっと難しいかも。とても感じの良い店員さんがテキパキと対応してくれた。シーフードリゾット一点勝負のお店で注文に迷うこともない。白ワインと前菜でメインのリゾットが運ばれてくるのを待つ。

シーフード好きにはたまらん絵面

エビ・カニ・貝類の旨みがギュッと凝縮された濃厚なスープでめちゃくちゃ美味しかった!!家族全員大満足でレストランを後にした。

最後の夜だからちょっと寄ってみようかとフィゲイラ広場の夜市を覗いてソーセージを買って食べた。ここで飲み直すのも楽しそうだが、子連れはおとなしく宿に帰った。早めに帰れたので部屋に置いてあったジェンガとUNOで遊んだ。エアビーだとこんなふうにリビングで家族みんなでのんびり過ごせるのもいい。

楽しかったリスボン旅行も残すところあと半日。帰りたくないけど午後のフライトでロンドンに帰らないと。その前にリスボン水族館に行こうと思う。

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