17.花嫁が泣くのは、初めて親心の ありがたさを知るからだ
ある娘が嫁いだ。
結婚式も披露宴も無事にすんだ翌日、花嫁は姑に両手をついてたずねた。
「お母さま、今日は、なにをしたらよいでしょうか」
「まあ、ここしばらくは急ぐこともないし、おまえも疲れているだろうから休みなさい」
姑は、やさしくいたわった。
「いいえ、お母さま。私なら少しも疲れてはおりません。へたですが縫い物でもあったら手伝わせてください」
「そんなにまで言ってくれるのなら、ゆっくりでよいから、この着物を一枚、縫ってもらおうか」
姑は、緋縮緬の裏表打ち通しのものを