努力の方向性
「不妊治療を辞めて、諦めたタイミングで赤ちゃんが来てくれました♪」
体外受精までいくと、この手の言葉が、本当に嫌いになる。
よく雑誌やネットの不妊治療の体験談にはこのような言葉が書いてあるが、諦めて皆んな授かるなら、体外受精なんていう高度な治療法はそもそもいらないはずなのでは、とよく思っていた。
知人にも、この「諦めたらできる」信仰の人がいる。この知人に、私が妊娠の報告をした時、勝手に「諦めた時に授かった的な感じ?」となぜか聞かれた。そしてなぜか私もこの空気を察して、「そんな感じです。」と答えてしまった。
このなんだかよく分からない信仰を、私は、将来結婚・妊娠を考えている10代や20代若い人にはあまり普及させたくないと、個人的に思っている。
ビジネス書や自己啓発本などにある、
「努力すれば必ず報われる」
「信じ続けて頑張れば、いつか報われる」
的な考え方に似ているような気がするからである。この考え方は、パワハラなどに繋がるので、個人的にあまり好きじゃない。
闇雲に信じ続けたり、闇雲に努力しても、報われる可能性が少ないこともあると思う。
努力は正しく行われないと意味がないと思うし、正しく行われないことで、時間を無駄なしてしまうこともあると思う。
一方で、正しく努力しても報われないことも、可能性としてはあることも忘れてはいけないが。
情報や統計データなどをもとにして、「どう努力すればその可能性を上げることができるか」は、今の時代、簡単に知ることができる。
なので、まずは、正しい方向性で努力することが、不妊治療では大切なのではないかと思う。
なぜ私がこの記事を今書いているかというと、一年前、1回目の体外受精で稽留流産になって手術をしてからちょうど1年が経って、またあの頃の辛かった記憶が甦ったからだ。
「もっと早くに治療を始めていれば、流産する確率も下げられたかもしれない。」
「もっと早く病院で治療していれば、体外受精までしなくても良かったかもしれない。」
避けることのできる経験は、若い人には、出来るだけ、して欲しくない。老婆心である。
どうか、10代・20代の若い人が、情報を正しく解釈して、正しい方向性で努力できるような社会になりますように。
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