早生まれ
2月下旬の生まれである。
だから、保育園の同級生のほとんどより、体も小さく話せる言葉もまだ少なかった。学習も少し遅かった自覚もある。そして、この時期から少しずつコンプレックスが芽生え始めていた。
みんなより劣っている。
この感覚が、孤独感に繋がっていることを早い段階で自覚していた。園内でも友達と遊ぶより、ひとりで砂場で遊んだり、先生に絵本を読んでもらっている方が気が楽だった。
「みんなに負けない何かを見つけなきゃ!」
そして、5歳になってようやく他の子たちよりも得意なものが見つかった。
ピアノである。
母が連れて行ってくれたヤマハの音楽教室がすごく楽しかったのだ。クラスには歳の近い子もいて、通っていた保育園は違うけど、初めて会った気がしないような、どこか懐かしい気分を感じた。
その教室に週に1回通うのが楽しみになり、その時初めて「金曜日」という言葉を覚えた。まだ日にちの概念を理解できていなかったが、ピアノ教室に通うことで、1週間の曜日まで覚えることができた。良い相乗効果となった。
おかげで、保育園の音楽の時間は、堂々と鍵盤を叩く自分がいた。ずっと目立たなくて、いじめられていた私も遂にみんなに「すごいね!」と言われる日が来た。このおかげで、少しずつ仲良くしてくれる友達も増えた。
2歳から保育園通いがスタートして、ようやく、自分の居場所が見つかった経験だった。
5歳にして、私は音楽に救われた。
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