野に、咲く。1
第一話 神様‥お願いします。
神様‥どうか聞いてください。
僕は、夜になるのが怖いです。 夕暮れになるとあいつらが襲ってきます。
あいつらは暗闇で、僕を不安にするために襲ってきます。
幼少期の僕は、お寺に預けられていた。裏山に墓地があり、1人で遊でいるとすぐに暗くなった。
沈んでゆくお日様に手を合わせて、つぶやく。
「神様‥どうか聞いてください。 家に帰りたい‥」
お母さんがおかえりと言い、僕を見て笑っています。
お姉ちゃんと一緒に遊んで3人で夕飯の準備をします。
お父さんが仕事から帰ってきて4人で食べました。
お母さんのハンバーグは世界一美味しいです。
みんなで片付けたらお父さんとお風呂に入ります。
お風呂から上がるとお父さんはビールを飲んで僕は牛乳を飲みます。
みんなで歯磨きしたら、お母さんが昼間に干したふわふわのお布団で4人で寝ます。
良い香りのお布団はあったかくて気持ちいいです。
夜中に怖い夢を見て起きると、お父さんが僕の自転車修理してくれていました。
お母さんは洗濯物を畳んでいました。
お父さんは優しいです‥ お母さんは優しいです お姉ちゃんもたまに優しいです。
神様‥ 僕のほんとうのお父さんは仕事をしないで遊んでいます。
お父さんが仕事をして、やさしい人になりますように。
神様‥ 僕のほんとうのお母さんは目が吊り上がっています。
鬼になったお母さんを人間にもどしてください。
神様‥ 僕のほんとうのお姉ちゃんはイジワルです。家の鍵を閉めて僕を入れてくれません。
本を読んでくれて、自転車の乗り方をおしえてくれるお姉ちゃんにしてください。
神様、おねがいします。
幼少期の僕が手を合わせて祈るのはいつも同じことだった。
つづく