すり抜けた季節を思い出しては
梅に鶯、秋もそぞろで
今更ながらに深く深く染み込んで
ずっとここにいるよと
笑っていた君が好きだった歌だから
春のあたたかさに例えば
この身を置いたとしても
それでもいつまで経っても
川の冷たさは残るから
季節外れも甚だしくて
息も絶え絶え
雲が喘いでいる様な空に散る
梅に鶯、今更ながらに
深く深く染み込んで
ぼんやり呆けて
タバコの灰が手に落ちて
ふいに触れた熱の痛みにビクついて
それでも懲りずに
何食わぬ顔を垂れ下げるから
また同じ事を何光年と繰り返すこの日々で
粗末で些細で天邪鬼な感性を携えて
上がり下がり音の波をこの耳に詰め込んで
一丁前にまだこの肌は粟立つ様に出来てるから
ささやかなその瞬間を啜っては
他に縋るものもないものだから
こうしていつまでも縋ってる
ずっとここにいるよと
笑っていた君が好きだった歌だから
梅に鶯、秋もそぞろで
今更ながらに深く深く染み込んで
季節外れも甚だしくて
息も絶え絶え
雲が喘いでいる様な空に散る
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