
カネコアヤノと電球色
一度風邪をひいてから治しかたが分からない
もともとの自分を忘れたまま生活が続いていて
寝ることと食べることしかできない。
それで充分なのかもだけど
9月がはじまってすぐの日曜日、
カネコアヤノのライブに行った。
学校のライブ
集まる人の見ている方向はそれぞれで、たくさんの人と声と美味しい匂いが飛び交っていて
気持ちも迷子になりながら
それらしき行列を見つけ、秘密の通路みたいに階段を進み、体育館に出る。
武道館でも夏の屋外でもライブハウスでもそうだったように
学校の体育館のステージでもカネコアヤノはいつもの様にそこにいて
大きく小さく歌っていた。
バンドの間奏中に目を瞑って、寝る前の起きている時の微睡の夢みたいな感覚になる
たった今、生まれたての歌が温かくて、オレンジの電球みたいな小さな照明から湯気すら感じる
体育館のステージは例えるなら電子レンジかな
四角いし
温かくなって焼き上がってくる音を覗き見る。
遠くから何となくいい匂い
もともとの自分に戻る前の
明日からの生活が始まる前の
ほんのちょっとの時間
冷めないうちに、覚めないうちに。
今日のセットリストに季節の果物があって嬉しかった。
あと多分ほんの少しの秋