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海のはじまりと宝石になった日
死んじゃった犬の話をすると、
悲しい気持ちにさせちゃうかなって思って
気まずくならないようにまわりくどい言葉を使うから、うまく話せないなんてことがよくある。
それでも私は犬の話を懲りずにしちゃうし、気がついたらその話をしてるのは、私の過去のいろいろな記憶に存在があってぐるぐる複雑に、でも確かに紐づいているからだと思う。
犬が死んでしまったあと、新しくペットを迎えていないから、もう飼わないの?と聞かれることもよくあった。
動物は人間より寿命が短くて、いつかお別れが来るのが分かっているから飼わないという意見もあるけれど、何事も終わりを見ていたら何も始まらないと思うし、そう考えたことはあまりない。
良い出会いがあれば動物と暮らしたい気持ちはあるけれど踏み出せていないのは多分、まだどこかで寂しいままでいたかったのかな
寂しいままでいることが私を大丈夫にしていたような気がする
それに何でもいいわけじゃないんだ、人間関係と同じで、人と犬の関係だって様々だ。
いなくなったら
形がなくなって、見えなくなって触れなくて
実感するのが難しくなっちゃうから
空気を撫でて名前を呼んだ。
いたってことを誰かに話して自分でちゃんと分かっておきたかっただけ
🌊
📺
幼い頃、両親が忙しいときに私の相手をしてくれたのは愛犬とあとはドラマだった。
ひとりっ子でテレビっ子。早く学校が終わる日や休みの日の誰もいない時間は、寝ている犬を横にドラマを観ることがいちばんの娯楽だった。
今でも変わらずドラマが好きで、今はやっと7月クールの海のはじまりを観ている。
ちゃんと観ようとおもってずっと温めていたら夏は終わって秋が来た。
このドラマの登場人物は、月岡夏、百瀬弥生、南雲水季、津野晴明のように季節がはいった名前が多い。
観てて嬉しかったポイントその1、登場人物とおなじように私の名前にも季節が入ってること
津野くん(津野晴明)と同じで、漢字は違うけれど生まれた季節が名前に入ってる。
水季と海ちゃんの名前は水と氵で少しお揃いで
それも私と似ていて、これは嬉しいポイントその2
私は家族と氵でおそろい
両親がたまたまお揃いだったから私も仲間に入れようと思ったらしい。
海ちゃんと同じように、家族の名前を自由帳に並べて書いて周りの人たちに自慢していた時期が私にもあったなあ
海のはじまり11話(ママはいない人なの?)を観て、死んじゃった犬のことを思い出して、この文章を書いている。
大学時代に付き合っていた水季と夏くんの間に生まれた子が海ちゃん。水季は夏くんに海の存在を隠したまま別れを告げ、海を産み育てたが、海が7歳のとき水季は病気で亡くなってしまう。夏くんが海ちゃんのことを知ったのは水季が亡くなった後だった。
海ちゃんが小学校でママいないの?と聞かれてたときに
ママいたよ?って答える
夏くんの部屋や水季の実家で、海ちゃんが確かめるように、ママここにいた?って聞く
そんな海ちゃんに、
ママいないけど俺がいる
俺はいなくならないよ
辛かったらママの話しなくていいよっていう夏くん
いたとかいなくなったの話をしてる海ちゃんに対して、いるいないの話をする夏くん
いないことは分かる。今ここにいなくてもいたことは確かでそれをちゃんと分かっていたい。
いなくなること、死を伝えるために水季が海ちゃんにあげた絵本を海ちゃんは繰り返し読んでいた。
最初に読んだ感想は悲しいだったかかわいそうだったけれど、今はどう思うんだろう
突然、最愛の友だち・ことりをなくしてしまった、くま。
くらくしめきった部屋に、ひとり閉じこもっていたくまが やがて見つけた あたらしい 時の かがやき。
だって、ぼくたちは ずっとずっといっしょなんだ
私にとって、海ちゃんの絵本みたいな役割が、BUMPの宝石になった日だった。
声が震えてどうしても歌えなかった歌詞が歌えるようになったのはずいぶん前にかもしれないし最近な気もする。
増えていく君の知らない世界
増えていく君を知らない世界
君を知ってる僕は
会いたいよ
応えがなくても
名前を呼ぶよ
空気を撫でたよ
君の形に
あの温もりが
何度も聴いた声が
君がいたことが宝石になった日
忘れないから笑っていける
涙越えてもずっと君といる
どうしたって今ここにいないことは寂しくて
でもそれよりも、時間が経って一緒にいたことを忘れてしまうのが寂しかったこと
それでも一緒にいたことは、なかったことにならないから大丈夫って
ちゃんと気づかせてくれるドラマだった
夏くん弥生さん水季海ちゃん津野くんみんな大好きだよ〜!
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