但馬皇女

『言繁き 里に住まずは 今朝鳴きし 雁にたぐひて行かましものを』

 口やかましい里になんか、住んでいないで今朝鳴いた雁と連れだって、飛んでいってしまえばよかった。

人妻ながら恋に落ち、噂に悩んだ但馬皇女が詠んだ歌です。


『秋の田の 穂向きの寄れる片寄に 君によりなな 言痛く(こちたく)もあり』

高市皇子の宮にいます時、穂積皇子を想って詠んだ歌です。

 稲穂が一方に片寄っている様に私は一途に貴方のことを想っている。
 たとえ、噂がやかましくても。

穂積皇子は、天武天皇の子で、高市皇子の腹違いの弟。
身分的にも大分違うので、表立って但馬皇女を受け入れられない。
皇女は熱烈に穂積皇子を愛しました。
そして但馬皇女が薨せし後、穂積皇子が詠んだうた。

『降る雪は あわにな降りそ 吉隠の猪養の丘の 寒からまくに』

 降る雪よ沢山降ってくれるな皇女を葬った吉隠の猪養の丘が寒いことだろうから。

私はこのうたを見た時
死んでからお墓が寒かろうなんて…
生きているうちに受け入れてよ、と思っちゃいました。

次は、高市皇子(たけちのみこ)

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