狭野弟上娘子(さののおとがみのおとめ)

(杉本苑子さんの訳を参照しています。)
『君がゆく道のながてを繰り畳ね
焼きほろぼさむ 天の火もかも』
訳 あの方がやがて辿るはずの道 長い配所への道を手ぐり寄せて畳んでひと息に焼きほろぼしてしまうほどな天上の火がほしい。
この激しいうたは、彼女が中臣朝臣宅守が罪を得て越前に流罪になった時に詠みました。
命あらば逢ふこともあらむ わが故にはだな思ひそ命だに経ば

(訳)命さえ保っていてくれれば必ず又お会い出来ます。
私ゆえにひどくお心を労して病気になどなって下さいますな
命ひとつをどうぞいとおしんで下さい。
わが背子が帰り来まさむ時の為 命残さむ 忘れたもうな。

(訳)ひたすらあなたが帰ってくる日のため 命をたもち続けてゆこうと思います。
何年時がへだとうともこの私の存在を忘れて下さいますな。
この激しい愛のうた.情熱的でこんなにも心を燃やすことが出来るなんてすごい。

私にも若い頃はこんな情熱があったなぁ…
なんてちゃって

まぁ、好きな人が流罪になって離れなければならなかったら
こんな気持ちになりますねー
そんな気持ちをうたに表せる技量があり、撰者の目にとまったから 1300年のちの私達が知ることが出来ると思うと万葉集の編纂にたずさわった人達に感謝です。

中臣朝臣宅守は翌年秋にゆるされ 奈良にもどっている様ですが、その後2人の仲がどうなったのかは、その消息を伝えるうたは残っていないそうです。
あんなに燃えた愛のその後が知りたいのに…
次は柿本人麿

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