ピリカグランプリ 初応募
【 あかり屋さん 】
とあるのどかな森の中に一軒のお店がありました。
店の名前は あかり屋さん。いろんな灯りを灯す、電球を売っています。そこで売られている電球は、💡一つ一つが特別。
どのように特別かって?
ちょうどほら、今日最初のお客さんがやって来ましたよ。
「こんにちはー!」
カランカランという鈴の音とともに、
一匹の子熊がやってきました。
「いらっしゃいませ。元気な子熊さん。
どうなさいました?」
「実はね、もうそろそろ冬籠りして寝なくちゃいけないんだけど、ちっとも眠れないの。眠れる灯りが欲しいんだけど、あるかな」
「ありますよ。少々お待ち下さい。」
店主はそう言って、カウンターの奥の部屋に入って行きました。
しばらくして、店主は箱を一つ大事そうに抱えて戻ってきました。
「ありました、ありました。こちらがお客さまがお求めの灯りです。色の温度を満月の夜に合わせてあるので、ぐっすり眠れますよ。」
その箱にはk-2800 Fmoonと小さく書かれた
電球が、入っていました。
子熊は、ありがとうと言って、
大事にその箱を抱えて持って帰りました。
夜になりました。子熊は今まで使っていた電球をくるくるっと取り外し、あかり屋さんからもらってきた、電球と取り替えました。
ピッ。
スイッチを入れてみると、
その灯りは、
優しい淡い光とやわらかなぬくもりで、
部屋を満たしてくれました。
暗い夜空に浮かぶ、お月さまのような優しい光の中、子熊は久しぶりにぐっすりと眠ることが出来ました。
遠いお空に行ってしまった、ママやパパが
まるで見守ってくれているかのようでした。
🌕
とあるのどかな森の中、あかり屋さんにまたお客さんのようです。
カランカランカラン、小さく音が鳴りました。
いつからそこに立っていたのか、男の子が1人にっこり微笑んで立っています。
「いらっしゃいませ。久しぶりだね。元気でいたかい?」
「うん、とても。お願いしていた灯りは出来たかい?」
2人はどうやら、昔からの友達のようでした。
懐かしい昔話をひとしきりしたあと、
ちょっと待っててね、と店主は店の奥の部屋に入って行きました。
店主が大事に、大事にそぉっと持ってきたのは
k-12000 Sunny skyと書かれた電球が入った木箱。
横にはいくつかの穴が空いていて、
この箱も特別に作られたものでした。
「この箱は特別。おまけだよ。」
と店主は笑い、その箱を男の子に渡しました。
「使い方は簡単。君が1番大切なものを照らしてみて」
「うん。わかった!ありがとう!また来るね」
そう言って笑ったと思ったら、男の子はもう見えなくなっていました。
その夜。
暗い夜空にひときわ明るい光が瞬ききました。
男の子は教えてもらった通り、1番大切なものをその灯りで照らしました。
そこには、頬をほんのり桜色に染めた美しいバラの花が微笑んでいました。
男の子もそれを見てとても嬉しい気持ちになりました。
それは心が素直になれる白い灯りでした。
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以上(1200文字)
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