#私と歯磨き
私と歯磨き
〜幼稚園時代〜
初めて歯の磨き方を教えてもらったのは、たしか幼稚園のとき。
先生が大きな歯の模型を手に大きな歯ブラシで磨き方を教えてくれました。
横に向かってがしがしと磨く方法もあるけれど、と教えてもらったのが、ローリングなんとかと言って、歯ブラシを歯に沿わせるようにくっつけてから、手首を上の歯なら下に、下の歯なら上に捻ってブラッシングする方法。
歯と歯の間に挟まった食べかすを、
掻き出すことが出来るこの方法は、数十年経った今でもとても役に立っています。
〜小学校時代〜
この時期は、毎日歯磨きをきちんと出来ていたかも記憶に怪しく、奥歯の上下は全て虫歯になってしまい、
歯医者さんにたくさん通ったことを覚えています。
かなりの虫歯で、痛くてもう泣くほど我慢が出来なくなってから、母に言うものだから、今治水を塗っても、正露丸を詰めても痛みは治らず、あの恐ろしい歯医者さんに行くのが嫌で嫌で仕方なかったのを覚えています。
私は、四姉妹の次女だったのですが、妹を一緒に連れて行かなければならなかったため、あのキュイーンというカン高い脳天に響く音と痛みにも"お姉ちゃん"という手前、妹を怖がらせないために、痛いとも言えず、別にたいしたことないよ、全然大丈夫、という見栄を張り、相当な痩せ我慢をしていたことも、今となっては懐かしい思い出です。
その後、中学、高校では、部活漬けの毎日でしたから、たぶん歯医者さんには行っていないと思います。
部活を休むなど考えられなかったし、きっと、あの痛みをもう二度と味わうまいと固く心に決めていたのでしょう。その後は、詰め物が取れたりするくらいでしか、歯医者さんには通っていません。
現在は、家のすぐ近くにある歯医者さんで定期的な検診を受けています。
まずは歯石取り。次にフロスで歯と歯の間の汚れも取ってもらいます。仕上げは何かジェルのようなものを塗ってから、機械で磨きあげてくださいます。
普段、そんなに長い間口を大きく開けることはあまり無いからか、顎が少し痛くなるのですが、クリーニングが終わったあとは、歯がつるつるになり、さっぱりとしてとても気持ちが良いです。
"綺麗に磨けていますよ"
と褒められると、また次の検診でも褒められたくて、毎日の歯磨きも頑張ろうという気持ちになるのでした。
定期検診のあと、私が通っている歯医者さんでは、一つプレゼントがもらえます。会計のあと、"お一つどうぞ"と差し出されるカゴの中には、小さなフロスや歯磨き粉、可愛い歯ブラシ、歯に優しいガムなどが入っています。初めてその歯医者さんで検診を受けたときには、大人なのにもらっていいのかな?と遠慮しかけたのですが、そういうものらしく、毎回笑顔でどうぞと勧めてくださいます。なので、その時ばかりは、まるで小さな子供がランチについてくるおまけを選ぶようなわくわくした気持ちになりながら、ちょっと照れながらも"これにします"
と一つ、もらって、大事にかばんにしまうのです。
ありがとうございました!とお礼を言ってドアを開けると、ようやく解放され、顎や肩の力も抜けた体に、爽やかな風が吹きぬけていきます。
かばんの中の小さなプレゼントは、
頑張った自分へのご褒美のようで、
ちょっと自分を誇らしく思うのでした。
歯を大事にすることは、自分を大事にすることでもあるのかもしれない。毎日、一本一本丁寧に磨く。
同時に自分自身も磨いていけるといいな。