中村太地七段【将棋のこと】

私は将棋を観るのが好きだ。
そして山崎八段ファンです。

将棋を観始めて10年経ちました。観始めた頃は将棋界の事情もよく知らず、せっかく米長永世棋聖がボンクラーズと戦っていたのに、その対局は見逃してしまいました。その対局を観ていれば中村太地七段の存在をもっと早くから意識していたかもしれません。山崎八段と将棋フォーカスの司会をやり始めた頃には当然知っていましたが、中村当時六段がテレビの司会をしてて大丈夫？と思った記憶があります。

もちろん司会の力量を不安視した訳ではありません。なんでも器用にこなす万能な方だということはすでに知っていました。ただそれ以上にプレイヤーとしてすごくすごく期待していました。当時はまだ羽生先生がバリバリ。他の羽生世代の先生方もバリバリ。渡辺先生に続く若手の中で誰が打ち破っていくんだという時期だったと思います。で、中村七段は私の中の最右翼だったんです。「いつかタイトルを獲る棋士」ではなく「どうせタイトルを獲る棋士」つまりは何度かタイトルを獲る棋士、複数タイトルをも保持する棋士になると思っていたんです。ということで、いつもは棋士の好きな所やエピソードを書いているのですが、今回はただただ思いだけを書かせていただきます。

全然、物足りません。
足りていませんよー、中村先生ー。

司会就任の二年後に、確かに羽生先生を打破してタイトルは奪いました。翌年、斎藤八段を迎えて絵になる棋士同士でのタイトル戦には、若さと華やかさを感じました。防衛出来なかったのは時の運として、それから今までタイトル戦線にさほど顔を出して来ないというのはどういうことですか。順位戦も今年ようやくB1に上がってきて、さすがのトップを走っていますが、納得なんてしてませんよ。なんで、まだ七段なの。とっくの昔にA級八段になってる棋士でしょ。とっとと上がんなさい。

言葉が強くなりました、失礼申し上げます。
それとタイトル獲得がいかに難しいことか、またどのクラスであっても順位戦の昇級は大変なことだということも、もちろん理解しております。けっして軽んじている訳ではありません。でも、それくらい中村七段は実力者だと思っていましたし、今も思っているんです。同じように思っている方々は、全国に沢山居ると思うのですが…

万能過ぎるんですよね。
見た目もいいからメディア活動には適任だし、そのうえ喋れちゃう。言葉選びも出来る、気遣いも出来る、空気だって読める。そりゃ、お声も掛かります。中村七段本人も普及に熱心な人だから色んなことを試みて、またそれが出来ちゃう。若い時から「未来の会長」なんてあだ名されるほどの人格と才覚。天が与え過ぎちゃったのかなぁ… 考えものです。

米長先生の遺志を継いで普及にも努めているのだろうし、ユーチューブ等の今の活動を楽しみにしているファンも多いと思います。そういう活動が中村七段の将棋の妨げになっているとも私は思っていません。ただ失礼ながら、やっぱりどうしても物足りないのです。

だから、お願いしたい。
A級にもなってタイトルも獲って、ユーチューブもやってテレビにも出て、未来で会長までやりこなして、なんでもかんでも全部やってのける万能中の万能棋士、中村太地を見せて欲しい。
いつも見せ方に拘っていた米長先生が、あれほど注目を浴びる対局で中村七段を代指しに指名した。「私を尊敬している人」というのが指名の理由となっていますが、自身の後継者として色々と見込みある有望な愛弟子をお披露目しておきたいという考えもあったのではないでしょうか。米長先生も万能でしたけど名人にもなったし、永世称号も持った。賛否あったけど会長としての功績もあるし、これこそ賛否があったでしょう写真集まで出した。

そう考えたら、やっぱり足りてない。
色々、やることだらけですよー。
大変ですけど大いに期待してますから全部成し遂げてください、中村七段。