高田明浩四段【将棋のこと】
私は将棋を観るのが好きだ。
そして山崎八段ファンです。
昨日の昼過ぎ、そういえば棋聖戦の第二局だったと思い出してはスマホでアベマTVを開く。画面には対局場が映り、藤井棋聖と佐々木挑戦者が盤を睨んでいました。そこに聞き手と解説者の雑談する声が流れてくる。私、こういう状況になると声だけで誰かを当てたくなるんです。当たると将棋ファンとしての面目が立つ気がする。誰に自慢をする訳でもない自己満足の一人遊び、でも楽しいのです。
聞き覚えのある声で慣れた様子の聞き手が話し掛ける。「そうですね。」と受けた解説者の声には馴染みがない。若そうでもあるがゆったりとして落ち着いた話し口。対局中の扇子の扱いを聞き手に尋ねる様子に、女流棋士に対しても棋士として対等に接している感じがして好印象を抱いた。でも、判らない。誰だ誰だと思案している間に画面が切り替わり、大盤を挟んだ室谷女流と高田明浩四段が映りました。さすがに室谷女流は当てねばならなかったと勝手に面目を失う。高田四段に関しては初解説とのことで、これは止む無し。「扇子のことは後で山崎先生に聞いてみましょう。」という言葉にまさかと思って番組詳細を開き直す。案の定、もう一人の解説者は山崎八段。一門の兄弟子と姉弟子、プラス安定の貞升女流に囲まれて高田四段の解説デビューは万全の布陣を準備されているようでした。
これならば安心と何故か私までが胸を撫でおろす。そして大きくなったなぁと高田四段をしみじみ見つめます。プロを目指したことも無事に四段でデビューしたことも知っていましたが、全て記事と写真のみ。動いて話す高田四段を見たのは小学生以来になります。結構、自由に話してる。ゆったり口調ですが少し悪いことも言ってる。応援してあげてとコメント欄を開くと若干のお咎めコメントがチラホラ。いいではないですか、若くて奔放で。多少のご批判を出すキャラに逞しさも感じて、度が過ぎませんようにと熟練聞き手の室谷・貞升女流に手綱を託します。
私が将棋にハマったのは2012年が始まる前後。それからの三、四年は将棋と名の付くものを貪るように見ていたと思います。そんな中の一つに小学生名人戦があり、ベスト4からは全国放送。2014年の四人の中にいたのが高田四段でした。当時は子供らしくも愛嬌のあるふっくらとした体形が目を引いた高田明浩くん。決勝では破れてしまいましたが最も印象に残りました。なんせ強い。ちゃんと読めているのか、感覚だけでも指せるものなのか、プロも唸る将棋を早指しで魅せる。そして、他の三人もまた強い。私の棋力ではどれほどに強いのかも判りませんが、べらぼうに強い。正直、嫌になってしまった… これが生まれ持っての才能なのねと脱帽して、楽しむよりも羨んで観ていたことを覚えています。
その後、時より覗く将棋連盟サイトの奨励会ページで名前を見つける。本当に時々ですが級位者の成績表にまで目を配る私。昇級の早い子や初の女性棋士の卵を見つける為ですが、そこで見覚えのあった「高田明浩」の名に驚き、師匠欄の「森信」にまた驚いた。山崎八段の弟弟子となったのならば、尚のこと応援せねばならない。後に目にした記事によると右玉力戦系でやや変則的な棋風とのこと。さすがは森門下。更に厳密には糸谷八段の系譜を継いだらしい。ファンの欲目で申し訳ありませが、糸谷系譜ならばそれはもう山崎系譜と言っていい。両先生に負けず劣らずの魅力ある棋譜をプロでも残してもらいたいものです。
解説は終盤、系譜の長である山崎八段とのダブル解説。劇的で衝撃的な幕切れの第二局でしたが、演技なのか天然なのか長がオタオタしている間にも早見えの読み筋を落ち着いて披露する高田四段。4八銀は正解でしたし、消去を基にした筋の選択も理が通っていました。もはや大人になったと感慨に耽っている場合ではなく、将来を見据えて頼もしい限りです。
昨夜、久々に奨励会ページを覗いてみる。2014年の他三人も皆、三段リーグで戦っていました。藤井七冠世代の彼ら。今期で四段に上がったとしても、特段早くもなければ遅くもない年齢です。全国で四人にまで駆け上がった才能も将棋界ではごく標準。それでも少しだけ贔屓してしまう。この世代が早く追いついて藤井七冠を脅かしていかなければ、偉業が一通り落ち着いた後の将棋界がマンネリを迎えてしまいます。今は四人の先頭を走っている高田四段。昨日の解説同様、自由奔放に自分を貫いては猛進・猛追してください。きっと残りの三人もいずれは追いついてくれるはずです。
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