妻のお願い【夫婦のこと】
先週の夕食時「いただきます」と手を合わせた直後に妻が「聞いて欲しいお願いがある」と言い出した。「いいよ」と即答出来ればよかったのですが、思わず身構えてしまう器の小さな私。あまりの唐突さに様々な不安が瞬時に頭が駆け巡ってしまいました。
まずは相談と言わない辺りにひとまず聞いてから判断という訳にはいかなさそうな不安を感じました。夫婦間でのお願いですから叶えることが大前提。お願いレベルも判らず不安がどんどんと増していきます。何も聞かず、何も尋ねず、俺に任せておけという昭和男では、私は無いのです…
そもそも話の切り出し方が早過ぎました。料理も口にする前から口火を切られた。そんなにも切羽詰まるレベルのお願いかと危ぶんでしまった。箸すら持たずに神妙な顔つきの妻が本題に入ろうとしている。大儀なお願いではないことを祈って、今一度テーブルの下でそっと手を合わせます。
「誕生日プレゼントの前借りがしたいの!」
拍子抜けする私に対して、妻は堰を切ったかのように笑顔で話し始めた。
誕生日はまだまだ先の妻ですが今年のプレゼントが今すぐに欲しいらしいのです。何でも早く使いたい洋裁道具が見つかったそうで、それが妻の中では贅沢品らしく、仮に今月が誕生日だったら買ってもらえるのにと思い至ったと言う。そんな思いが募って溢れて夕食もそっちのけでとにかくお願いしてみようとなったとのこと。しばらくは楽し気にその道具の説明が延々と続きます。私は安堵して、ひたすら料理を口へと運ぶ。そして食後、ネットで速攻で、即、購入しました。
こんなお願いならば会話の途中に挟んで欲しい。もっと軽やかに気楽な感じでお願いして欲しい。唐突な始まりは私の小心をあぶり出してしまう… 不安の先走りに器の小ささを自覚させられて恥ずかしいです。
私のお願いが、このnoteを通じて妻に届きますように。