原田マハ『奇跡の人』とダイアログ・イン・ザ・ダーク
「丸くなったね」
やたら最近よく言われる。
確かに見た目は明らかに丸くなった。
とまあ冗談はその辺りにして・・・
二か月ほど前であろうか。ひょんなご縁から、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」(http://www.dialoginthedark.com/)を体験した。参加者は完全に光の遮断された空間に、グループを組んで入り、暗闇のエキスパートである視覚障がい者の方のアテンドのもと、中を探検し、様々な課題に取り組む。
体験後に体験の振り返りもした。感想としては、視覚以外の感覚が研ぎ澄まされる実感もあったし、暗闇の中だと不安になるからであろうか、余計に誰かの存在をありがたく感じた。学ぶこともたくさんあった。
だけどきっと、何かがもやもやしたままだったのだろう。ふと手に取った本を読む中でふとそのことを思い出したのである。その本は、原田マハさんの『奇跡の人』。
『奇跡の人』は、盲目で、耳が聞こえず、口も利けないという大きな苦難を背負った少女と、その教育係として、秘める可能性を信じて彼女の教育に献身する女教師の物語である。
少女の名前は、介良れん。
家庭教師の名前は、去場安。
れんは、使用人たちに「けものの子」のように扱われ、暗い蔵に閉じ込められていた。そんなれんの放つ強烈な光を目にした安が、彼女に眠っている才能を開花させるため、奮闘する、という物語である。
もうここまでくればお分かりだろう。この本は、ヘレン・ケラーとアン・サリヴァンの物語の日本版リメイクである。
読後の感想としては、ヘレンケラーを知っていたため内容はあらかた予想はついていただが、その描写の細かさ・日本ならではの情景描写がとても美しく、一気に読んでしまいました。ヘレンケラーの本を読んだことがある人にこそ読んでほしい一冊である。本書のあとがきが秀悦すぎるので、これ以上多くは語りません。すべてそこに言い尽くされているので、ぜひ書店で手に取ってみてください。
私個人としては、当たり前のことを当たり前と思わず、幸せに感じて生きていきたいと思った。過剰な程なまでに、「おもてなし」やらで誰かにやってもらうことが当たり前だと感じてしまうことが多いこの現代において、少なくとも僕はそういった日々の小さな奇跡に気づき、感謝できる人間でありたいと思う。
最近「丸くなったね」と言われることが増えたのも、きっとその事と無縁ではないはず。
母の日も近いことだし、まずは母に感謝の想いを伝えてみることとしよう。
※グレンフィデックに酔いしれ、謎に勢いで書いてしまいましたので、読みにくい文章ですがご理解ください。