『太陽の棘』
人は太陽を見て、なにを思うのだろうか。
あたたかい
エネルギー
幸せ
といったポジティブなものから、
まぶしい
暑い
癌になる
とまあネガティブなものまで色々ある。
どの地域でどんな風に暮らしているかによって、抱くイメージは全然違うんだろうけれども、太陽は等しく彼らの頭上にあるのだ。近いんだか遠いんだか、掴めそうで掴めない感覚なのだろうか、実に面白い。(よく子供の頃、手で太陽つまんだりしましたね!)
原田マハさんの『太陽の棘』を読んでいると、題名通りいろいろな形で太陽が出てくる。
タイラのまなざしは、刻々と変化した。かっと照りつける夏の日差しのように鋭くなるかと思えば、日だまりにも似たおだやかさにもなった。
といった人物表現から、ネタバレになるので内容は省略するが、題名の「棘」にもいい味をだして絡んで太陽が使われている。
終戦後の沖縄で出会う、米軍の若き軍医と沖縄の画家たちと実話の物語を、「太陽」に注目しながら再読してみるのも面白そうだ。