苦手な人
私は3年ほど音楽教室に通っていた。
フレンドリーが売りの先生はやや無神経なところがあり、人のプライベートを詮索してはお節介を焼き、「与えてあげている」という状態に酔っている人だった。
人助けをすると嬉々として自慢していた。
自分が上で他人が下。
悪い人ではないんだけど…という言葉は巷でよく耳にするが、決して良い意味ではないし、はっきり言って何のフォローにもなってはいない。
先生も俗に言う、悪い人ではないんだけど…の人種だ。
そんな先生に私は気に入られ、1時間のレッスンに4時間の雑談が付くこともザラではなかった。
よく我々は〜なんて、私を同化させて話すことがあったが、正直なところ私はそんなに親しいつもりはなかった。
口を開けば自慢、生徒の悪口、苦労話。
負のオーラ満載だ。
何故こんなに自信が無いのだろう?虚栄心の塊なのだろうと不思議だった。
自分のこと、好きじゃ無いのかな?
他者に与えているつもりだけど、他者から欲しがっているんだよね。
称賛や感謝を。
してあげてるのに。
でもこんなにやってあげてるのにこの程度じゃダメだよね?
なんて私に同意を求める。
知らないよ。どうでもいいよ。
その人の勝手でしょ?
自分から首を突っ込んで馬鹿にするなんて。
疲れるなぁ。嫌な人だなぁ。
私、あなたが嫌い。
苦手な人や嫌いな人は自分を映す鏡だと聞いたことがある。
嫌な人の要素が、自分にもあるらしいのだ。
私にも濃度は違えど、先生と似た要素があるのかな。
だとしたら、もしそうだとしたら。
そこを素直に認めつつ、少しずつで良いから手放していきたい。
私は私を好きになって、私が欲しがる物事を私に与えてあげたい。
感謝や称賛だって、私自信に私から与えてあげたい。
それでいいじゃん。それがいいじゃん。