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とっておきの「エモい」をあげる 【呼応する星たち】短編 一万字強
十七歳にして人生が終わった、と思った。
教室の扉が開いた瞬間、わたしの心臓は鷲掴みされた。
「だめじゃん、小春ちゃん。いくら好きだからって、人のもの盗んじゃ」
そう咎められ、咄嗟にポケットに隠した佐野のシャープペンシルは、汗でぬるぬると滑った。
教室のなかは凍えるほど寒いというのに、身体じゅうの汗が止まらない。グラウンドから聞こえていたはずの野球部のけたたましい掛け声が、途端に聞こ
十七歳にして人生が終わった、と思った。
教室の扉が開いた瞬間、わたしの心臓は鷲掴みされた。
「だめじゃん、小春ちゃん。いくら好きだからって、人のもの盗んじゃ」
そう咎められ、咄嗟にポケットに隠した佐野のシャープペンシルは、汗でぬるぬると滑った。
教室のなかは凍えるほど寒いというのに、身体じゅうの汗が止まらない。グラウンドから聞こえていたはずの野球部のけたたましい掛け声が、途端に聞こ