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サンタさんが連れてきたのは死神でした。


この話の続きになります。

石油ストーブがついているのかどうか 何回も確認に行くぐらい 今日は寒い。
私はファンヒーターや エアコンよりも 火鉢や石油ストーブ、暖炉の方が好きです。

火が好きなんだよね。
火力がある方があったかい。
ファンヒーターは止めたらすぐ部屋が冷えるけど。

 石油ストーブは遠赤外線だから長いこと、あったかい。輻射式ストーブは空気を暖めるのではなく、遠赤外線の効果である輻射熱が温度の高いところから低いところに広がっていき室内全体を温める からなんだよね ぼんやりあったかい。
お茶 マニアなので1日中 やかんをかけられる幸せもある。

帰ってきて クリスマスケーキを食べた。
スパークリングも飲む。お腹が痛い。

リートを調べて…

その合間で、お通夜に行った。
LINE に、おばあちゃんの娘さんが亡くなったとお知らせをしてくれた。

てっきり、おばあちゃんから LINE が来たと思ったら娘さんだった。
でも予感はあったから驚かなかった。
もう会えないと思ったもん。

娘さんとは数回会ったことがある。

スープの冷めない距離に住んでいて、とてもいい娘さんです。
ただ みんな昼は働いてるからおばあちゃん 1人なんだよね。一人暮らし だし。

娘さんに「母があなたに会う時はいつも元気だった」と教えてくれた。

単純に気が合った。

亡くなって悲しいけど長寿 だし 問題ない。
素敵な人生だったと思う。
英語が ベラベラのおばあちゃんだったんだよ。留学経験もあって 翻訳が仕事だった。

すごく真面目でいい人だった。
死ぬ直前まで仕事をしてた。
でも私は亡くなって良かったという気持ちの方が強い。

おむつとか履けるようなタイプの人じゃない。
自分でトイレに行って食事ができて歩けるうちに死ねて良かった。入院したくないと、ずっと言ってたから自宅で亡くなったのも嬉しかった。

私は友達だからそう思う。
そして 若い死じゃないから、これは 適正な死だと受け入れられる。

ただ あの家は空っぽになった。
明日から 誰もいない 空き家になる。

綺麗な藤棚がある家です。
ものすごく立派な観光地にあるような 桜も1本庭にある。

井戸があって 鯉とヤマメを買っている。
食べる用です笑

このおばあちゃんは 筋金入りの学校行かない勢で、9番目に生まれた末っ子です。

戦争中 、唯一の楽しみが戦地に行く若い兵隊さんに向かって 旗を振ることだったんだって。

自分が幼すぎて意味を分かってなくて、イベントみたいなものだと思ってたんだって。

後になって私は、なんて残酷なことを楽しんでいたんだろうと思ったらしい。

戦争中に 疎開もしたんだけど、学校が嫌すぎて兄弟を置いて自分だけ都会のお家に帰ったんだって笑。そんなことできんの?
時代的に不可能じゃないの?

そしたら1個上のお姉ちゃんも戻ってきたいと言って、絨毯爆撃されまくる中、街に残ったんだって。

お母さんと3人で街で暮らしてて、お母さんは「もう学校はいい。死ぬときはどこにいても死ぬ」と言い、街に残ることを許してくれたんだって。

だからこのおばあちゃんは奇跡的に学校行かない 勢である私に寛容だった笑。

「私は会長なんだー。学校を経営をしている。若い時は学校に行ったことないのに笑」という鉄板ネタを持っていた笑。

マジで面白い笑。
しかもお金持ちになってんのが面白すぎる。

兄弟の中で自分が一番成功しているらしい。
時代に乗ったらしい笑。

ワロタ。

おばあちゃんは、いつ死んでもいいからお母さんと一緒にいたかったんだって。
あと 学校も嫌いだったんだって笑。

学校に行かない理由は、人それぞれだけど。

 疎開 ブッチは、かっこよすぎた。
初めて聞いた笑。拒否できるもんなんだ笑。

昼間は、おねえちゃんと2人か、自分1人で。

空襲が来たら、 それぞれに泣きながら近くの防空壕に走ったんだって。

お姉ちゃんを探してたら自分も死んじゃうから 探さないんだって。

毎日 ものすごい死体の山で。
目の前に爆弾が落ちたこともあって、めちゃくちゃ怖かったらしい。

そこら中、燃えるから、 みんな川に逃げるらしくて 川の中でたくさんの人が死ぬんだって。

人間の皮膚が焦げる 匂いは独特で他に表現ができないらしい。
全身ケロイドで歩いている人がたくさんいて本当に地獄だったらしい。

そして ちょっとでも怪我したら自分も死ぬから恐怖がすごかったらしい。
病院もないし 薬もないし、何もないから 怪我したら死んじゃうんだよ。

川の中に飛び込んでも人がいっぱいだから、自分の体を掴んでくる人もいて溺れ死ぬかもしれないから泣きながら泳いで逃げたらしい。

今でも、たまに思い出すし。

 一生忘れられないと言ってた。

そのおばあちゃんは、終戦の時に中学生ぐらいだった。

それより若いおばあちゃんは6歳で終戦を迎えたらしく、終戦の翌日B 29が真っ青な空を飛んできて お母さんと手をつないで 土手を歩いてたんだけど 、お母さんの手を振りはらって、目の前にあった水が張っている田んぼに飛び込んだんだって。

そしたらお母さんが昨日戦争は終わったよと教えてくれて。

自分も戦争が終わったことは知ってたんだけど、反射的に田んぼに飛び込んでしまうぐらい 戦争が体に染み付いてたんだって。

その時に 田んぼの中で戦争が、やっと終わったんだ…

もう逃げなくていいんだと思ったらしい。

食べ物は戦後も、ずっとなくて貧しい暮らしはずっと続いたらしい。
歴史教科書では、あっという間に 戦後復興するんだけど 全然そんな感じじゃなかったらしい。

わがまま言っちゃいけないんだけど、大根と芋は、もう食べられないと言ってた。

戦争中に 、それしかなくて、ずっと食べてたんだって。

だからもう一生食べたくないんだって。

卵とバナナが大好きで牛乳も毎日飲んでた。

だから髪の毛もお肌も つやつや。
身長が150cm なかった。
私は身長が高いから、いつもいいなぁと言われた笑。

90歳過ぎても、身長が低いことを気にしてて可愛い笑。

成長期に何も食べられなかったから成長しなかったんだって。

だから今の若い人は、みんな背が高くて、平和だなって思うんだって。

確かに終戦が近い 生まれだもんね。
生まれてから、ずっと食べ物がなかったんだろうね。草もいっぱい食べたらしい。

コロナ禍にマスクをしないで 必ずスーパーに行き、 毎日 店員さんに追いかけられていた可愛らしいおばあちゃん。

耳が聞こえにくいから、補聴器をつけないといけないのに、高いからという理由で大事にしまいこんで何も聞こえないって言うね笑。

メガネ もかけないから、目は見えるのって聞いたら?

白内障だか 緑内障だか…
目の病気になって手術をしたらしく 麻酔から覚めて、起きたら視力が両目1.2 だったらしい。ワロタ。

そして鏡を見たら、自分が思っているより シワとシミがたくさんあって…

「こんなに見えなくていいのに」と医者に毒を吐いててワロタ。

すごくキュートな他人のおばあちゃんだった。

サンタさんは死神をプレゼントしたんだね。
私のとこには来なかったよ。
残念だよ。

でもきれい好きなおばあちゃんだったから、人間の尊厳が守られた死で良かった。

形見分けされた。
聖書で草。

「世界的ベストセラー だからあげるね」と書いてあった。
ワロタ。

しかも 新品ではない笑。
ボロボロで草。

「それは母がドイツにいた時に買った 聖書です」

あー、マジだ。ドイツ語だ..

「珍しいものなんですよ」

確かに 表紙が綺麗。昔のものだけど 破けたりはしていない。

「母は ドイツ語は、わからないのに笑」

私が去年ドッケンを受けたことを知ってるからだね。

だから覚えてて、 自分が持っているものの中で、唯一ドイツ語のものを私にくれた。

こんなの読めないよ笑

「ボケていたのかも…」

「いや、これは意味があるものです」

「そうなの?良かったわ」

急に寒くなったし 今年はサンタラリーはこない。

でも死神は元気に働いているようだ。

私はボロボロのドイツ語の聖書を開いて、一切 読めないんだけど、しおりを挟んだ。

「天国に行きますように」

聖書を抱きしめて お祈りをした。

ちなみに私は神様を信じないので 当然 クリスチャンではない笑

さよならさんかくまた来て四角。