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フリーランス・ティーチャーのすすめ ver.2

 ここ数年、教職志望のゼミ生に、20代の間の身の処し方として「フリーランス・ティーチャー」になることを勧めている。
 1〜3年ごとに働く場所を変えて全国を渡り歩きながら、さまざまな教育現場で体験を重ね、見識を深め、スキルを高めながら収入を得るフリーランス・ティーチャー。

 2〜3校のかけ持ちをすることは、複数の学校文化を同時に体験できるだけではなく、広報活動や部活動指導などの業務を専任教員の肩代わりする形で押し付けられるリスクを軽減できる。

 大学を卒業後、2〜3校のかけ持ちで非常勤を1年、次の年は気に入った1校だけは継続しつつ残りは別の学校に変更してみる。
 そのようにしてさまざまな教育現場を内側から体験し、異なる学校文化を比較しながら経験値を増やしていく。
 さらに3年めは、どこかの私学で専任待遇でのお試し採用を1年、離島の学校で臨任で1年、地方都市で専任として3年・・・といった具合に10年ほど過ごしてみる。
 週6日やる必要はない。週4〜5日でも、住む場所や条件次第で、生活をまわすことは可能だろう。

 ときには、産休代替が見つからずに困っている学校、年度末に想定外の欠員が生じて補充が必要になった学校などを助けながら多様な経験を積む20代を過ごすことができれば、教員としての経験値だけではなく、多くの教育関係者とつながりをつくることもできる。
 これだけ変化の大きな時代の中で、社会関係資本を増やし、見聞を広め、見識を豊かにしながら、2030年代まで過ごせたら、その先の道は自ずと開けてくるのではないだろうか。

 一昔前なら「まともな仕事ができない尻軽教師・不適格教師」に見えてしまったかもしれないが、定職につかない状態をポジティブにとらえ、「フリーランス・ティーチャー」と名乗ってしまえば、周囲の目が変わり、気持ちを楽にして生きられるはず。
 こういうご時世、多様な経験を積んだ30歳前後の若者は、教員探しに苦労している現場から熱烈に評価してもらうことさえ期待できる。

 「期限付き」とか「1年目はお試しで…」みたいな採用があるが、むしろこれからは、働く側が「期限付き」とか「お試し」を勤め先の学校に突きつける時代なのかもしれない。

 いかがだろうか?
 フリーランス・ティーチャー。

※元記事「フリーランス・ティーチャーのすすめ」

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