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機嫌の悪いラーメン屋の店員が生まれる理由を、教育のプロとして考えてみた
ラーメン屋のカウンターにすわって「みそらーめん!」と注文したとたんに、「そちらで食券を買ってください」と言われたことはないだろうか。
言葉としてはていねいなのに、明らかに不機嫌である。言われたこっちもちょっとイラッとする。
振り向くと、たしかに食券販売機が入口のすぐわきに置いてある。
気づかなかった私が悪いわけだが、こっちにはこっちの言い分がある。
店内に入って正面にカウンターがある。
「いらっしゃいませ!」という声が聞こえてきて、カウンター内にいる店員が視野に入る。
カウンターの上に「しょうゆラーメン、塩ラーメン、みそラーメン、ギョウザ・・・」とメニューが掲げられている。
「おおそうか、3種類あるんだな」とメニューを見ながらカウンターに向かって歩き、「みそラーメンがいいな」と決意。
そのままカウンター席に座る。
そして「みそラーメン!」とひとこと。
入口の脇にある食券販売機が視野に入るチャンスがなかったのだ。
常連客なら間違えないし、店員にとっては、「食券を買って注文」という手順は常識中の常識である。
だから店員は、「チェッ!またかよ。食券買ってからすわれよ(ヽ(`Д´)ノプンプン)」という接客態度になるわけだ。(ラーメン屋に限った話ではないし、食券に限った話でもない。)
しかし、お客本位のラーメン屋であろうとするなら、考えなくてはならない。
「なぜこんなにも食券を買わずに注文してくる客が多いのか。店内のどこを改善すれば食券を買ってくれるようになるのか」ということを。
店の入口を入ってくる時の客の視野の中に、いったいどういう情報が配置されているのか。メニューを書く位置、椅子の位置、声をかけるタイミングやお腹をすかせた客の心理と生理。
年度初め。教壇に立つ教員が「なんでこんなことがわからないんだ」という状態になってしまっているとしたら、それは機嫌の悪いラーメン屋の店員と同じである。
自分にとっては自明のことでも、目の前にいる学生・生徒にとっては未知のことである。
年度初め、何もかもが新鮮で、新しい情報がシャワーのように降り注いでいる状態にある学生・生徒は、重要ではない情報であることを判断できずに注意力をそがれ、気がつくはずのことにも気づかないことが多いのだ。
「なんでこんなことがわからないんだ」と他責的に嘆くのではなく、「どうして伝わらなかったんだろう」と自らの伝え方を反省する態度が必要だ。
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