親がまだ結婚していない、という話
自粛生活で全く外に出ず、家族全員が家にいる今。
家族での会話が増えた。
それぞれの忙しい日常で、家族全員で揃ってまとまった時間を共にしたり、何かひとつのことについて議論したり、そういうことがとても久しぶりだったので、嬉しい。
それと同時に、家族について考える機会があった。今日は「家族」、その中でも日本と全然違う家族観を持っている「スウェーデンの家族」について、書こうと思う。
※留学したのは4年前?にもなるけど、生活する中で印象的な出来事もけっこうあったので、これからnoteにもぼちぼち書いていこうかなぁと思ってます…!
スウェーデンの家族
スウェーデンのルンド大学に留学中、日本語学科のクラスでTAをやっていた私は、日本語を客観的に考えることができるその時間がいつも楽しみだった。言語と、その言葉を生んだその国の文化背景は密接に関わっているんだなと毎回感じながら、両者の強いつながりに趣深さを感じていた。
ある日の授業で、「かぞくをしょうかいしてみよう」というトピックのもと、それぞれの家族について話した時のこと。
「私は4人家族です。父、母、妹と住んでいます。犬の名前は…」
といったベーシックな紹介文を作る授業だと思っていたんだけど、日本との違いがたくさんあって、「!」の連続だった。
「私は8人家族です」
「5人兄弟がいます」
って学生が何人もいて。え、スウェーデンってかなり大家族な人が多いんだなぁ…!と思いながら聞いていた。そんな中、
「腹違いの兄弟って日本語でなんて言うの?」
「母の新しい夫の子供ってなんて言うの?」
って数人に聞かれたことに驚いた。
スウェーデンでは「義理の〜」って言葉は必須単語みたい。スウェーデンの離婚率は、50%超え。ある調査では65%と出ていたり。でも、これは「正式に結婚していた」人が「正式に離婚した」数字なので、正確ではない。なぜ正確ではないのか?
「サンボ」というかたち
その理由は、スウェーデン語の「Sammanboende」( 一緒に住む、という意味。同棲と同じ) という言葉が存在するからだ。「Sambo/サンボ」と略されるこの言葉は、とっても大事なスウェーデン語なんだと生活する中で感じた。
スウェーデンには結婚して子どもができてからも、ずっとこのサンボのままで、結婚という形式を踏まないカップルがたくさんいる。だから、制度上”結婚”している状態の人は、実数よりも少ない。
「私、スウェーデンの人とサンボしているから、学費かからないんだよね」と友達が言っているのを聞いたことがある。「サンボビザ」というものもあって、それを取得するとスウェーデン人を配偶者とする他国籍の人にもいろんなメリットがあるらしい。「結婚」ってそもそもなんなんだ…と考えさせれた。
「親、まだ"結婚"してないんだよね」
日本語学科にいたスウェーデン人から聞いた、衝撃的な一言だった。
「???」と、一瞬私の頭の上にいくつものはてまマークが浮かんだ。
日本人の感覚だと、事実婚ってそこまで多くないし、一緒に住んでるのになんで結婚しないんだろうって思ってしまったのだけど…。スウェーデンでは結婚自体はあんまり重視されてない。
あと、日本だと「離婚」って聞くとマイナスなイメージを持たれがちだと思う。一方、スウェーデンでは小学校とかで入学式に来た親と、その数年後に卒業式に来た親が違う、なんてことがあたりまえ(!)親が別れた後も、週末は元旦那の家に子供と遊びに行ったり、誕生日パーティーをしたり、そんなことも多いんだとか。親が離婚したから、兄弟の親が違うから、といった理由でなにか周りの人から嫌な思いをさせられたりすることはないとスウェーデン人の友達が言っていた。
離婚というものにマイナスなイメージもそこまでないから、家族関係が入り混じっても、けっこうあっさり一緒に暮らして大家族になるんだー!って発見。
「親、まだ結婚してないんだよね。」と言った学生は、ちっちゃい兄弟たちにクリスマスプレゼントあげなきゃいけなくて、だるい!出費がやばい…笑」って言っていた。
離婚率の高さは、ポジティブ?
離婚したら周りの人や親戚がどう思うかなど、「世間体」を気にしない。これは日本との大きな違いだなと感じた。もしかすると、心理的な部分で離婚しやすいのかもしれない。個人主義の国だからかなぁ。
また、物理的にも。女性の社会進出が著しく、スウェーデンの女は経済的に自立してることが多い。夫がいなくてもバリバリ稼いでいて、すごい強い。これもひとつの理由になるのかなと思う。
スウェーデンでは、ひとりひとりの人生が尊重されているような印象を受けた。でもそれと同時に私の「家族像」とはかなり違うものがスウェーデンにはあった。スウェーデンの柔軟な考え方に出会い、「家族」のあり方はこれからも考え続けたいなと思っている。
明日もいい1日になりますように。