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JAXAで研究したい学生に耳寄りな話~宇宙科学研究所の場合~
こんにちは.なむです.
この記事は,JAXA学生アドベントカレンダー2021の,12/8の記事です.
今回は, JAXAの1機関である宇宙科学研究所の,大学院生を対象としたJAXAの雇用制度を紹介したいと思います.時給が高いとは言えませんが,生活するうえで経済的にすごく助かりますし,業務によっては普段の研究では触れられない貴重な機会を得ることもできます.
「JAXAで研究したい!!でもお金が心配だなぁ...」という未来の大学院生の皆さんが,少しでも心配を排除し,JAXA宇宙科学研究所で研究に取り組む夢をかなえてもらえたら嬉しいなと思います.
宇宙科学研究所リサーチアシスタント制度とは
宇宙科学研究所(以下宇宙研)には,「学術研究・研究開発の効率的な促進を図るとともに,優秀で意欲のある若手研究者の育成を目的」としたリサーチアシスタント制度(以下RA)というものがあります.
審査を通過した学生をJAXAの任期付き職員として雇用し,給与を支給するもので,特に経済的に豊かではない学生にとってはありがたい制度です.
どうしたら雇用されるのかなどについて,以下詳しく述べていきます.
※※以下の情報は,2021年度時点でのものです.将来制度が変更になることも考えられますのでご注意ください.※※
宇宙科学研究所ホームページより
応募資格
宇宙研RAの主な応募資格は,以下の通りです.
1.宇宙研が受け入れている大学院修士課程または博士課程に在籍する学生であること.
2.社会人学生ではないこと
3.採用期間内に,JAXAと別の雇用関係(アルバイト等)が発生しないこと
4.奨学金等を受給中の場合,その規則によってJAXAとの雇用が禁止されていないこと
5.JAXA以外の企業や組織との兼業となる場合,それが許されていること
ここで大事なのは[1.]です.つまり,そもそも宇宙研に受け入れられている大学院生でないと応募できません.RAで採用されることでJAXA/宇宙研に所属できる,ということではないので注意してください.
(参考)どうしたら宇宙研で研究指導を受ける大学院生になれるの?
大学院生として宇宙研で研究指導を受けるには,主に以下の4つの方法があります.
1.総合研究大学院大学宇宙科学専攻に入学する
2.東京大学大学院理学系研究科もしくは工学系研究科に入学し,宇宙研に置かれている研究室に所属する
3.JAXAと連携大学院協定を結んでいる大学に入学し,宇宙研での研究を希望する
4.宇宙研の受託指導学生になる
3,4については,こちらに詳しい説明があります.
いろいろ書きましたが,一番確実なのは『研究室訪問をして,そのときに「どうしたら先生の研究室で研究指導していただけますか」と尋ねる』だと思います.
自分のもとで研究したいという学生を邪険に扱う先生はいないと思いますし(いたとしてもそのような先生のもとで研究することはそもそもオススメできない),きちんと熱意が伝われば親身に対応してくれると思います.
RAの種類
宇宙科学研究所ホームページより
話を宇宙研RAに戻します.
宇宙研のRAは,2021年現在,以下の2種類です.
1.業務提案を行う形式
自分のアイデアや研究計画を宇宙研に提案し,審査を経て宇宙研の役に立つ研究であると判断された場合にRAとして採用されます.
研究指導をしてくださる先生と要相談ですし,審査結果は保証できませんが,修士論文/博士論文に向けた研究計画の一部やその発展的内容が,「JAXAの業務である・JAXAとして重要な研究である」と考えられれば,そのような内容でも申請することは可能です.
任期が終了したときには,研究成果の報告が求められます.
2.はやぶさ2の運用・データ補助業務
ちょうど1年ほど前に帰還した小惑星探査機「はやぶさ2」に関連する業務を行います.現在はデータ整理が主な業務になっているようです.管制室に入室することになるので,そのための審査が行われます.
はやぶさ2が帰還したので,今後も募集があり続けるかは不透明ですが,宇宙研が開発した小惑星探査機が打上げになれば,その補助業務を行うRAが募集されるのではないかと思います.
応募するRAは2つから自由に選ぶことができますが,重複して雇用されることはできません.両方の審査を通過した場合,どちらかを辞退することが必要になります.
待遇等
給与はいずれも時給1,300円です.普段受入学生として相模原キャンパスにいることから,交通費等の手当の支給はありません.
業務提案形式の場合は,希望勤務時間を提出し,その時間に勤務することになります.はやぶさ2の運用補助はシフト制です.いずれも,平日の午前9:30~午後5:45までの間で,1日7.5時間以内,1週間20時間未満です.
つまり,勤務時間上限まで勤務できた場合,月10万円前後の収入になります.
採用期間
募集ごとに異なるので一概には言えませんが,基本的に最長でも年度末(3月31日)までです.
次の年度もRAとして採用されたい場合は,改めて申請しましょう.
宇宙科学研究所ホームページより
採用までの手続き
応募
指定された様式の履歴書および申請書を提出することで行います.これに加えて,業務提案形式では,その研究を指導するRA指導予定者の推薦書が必要になります.
いずれもpdfに変換し,申請ページにアップロードすることで申請を行います.
審査と結果通知
宇宙研の大学院教育委員会で書類審査が行われ,結果が応募者に通知されます.書類審査を通過した場合,勤務希望申請書を提出します.
採用通知と辞令受領
JAXAの人事部で最終判断が行われ,採用の可否が決定します.採用になった場合,誓約書の提出と,辞令および労働条件通知書を受け取ります.
着任
辞令に記載されている日から着任になります.
募集時期
基本的に年2回(主に4月と10月)に公募があります.宇宙研のRA事務局からメールで周知されます.
新たに宇宙研に受け入れになったなどの理由で,まだ宇宙研から配信されるメールが受信できていない人は,先生や研究室の先輩に最近RAの募集がなかったか聞いておくとよいです.
その他注意
当然ですが,書類の不備や期限を過ぎた場合には審査の対象外になります.
2021年度の1次募集書類によれば,
将来大学や企業等での活躍が期待される皆さんが、自分自身でポストや外部資金の公募要項を読み込み、様式の意図を深く理解し、自分の言葉で分かりやすく説明し、希望する環境を自分で勝ち取り整えていくための訓練も兼ねています。
とのことです.
ほかにも雇用制度や支援制度が!
研究はしたい,でも経済的に余裕がないという学生は,かなり多いのではないかと思います.今回は宇宙研RAを紹介しましたが,宇宙研に限らず大学院生への支援制度で有名なものをあげると,
・日本学術振興会特別研究員制度(通称DC1/DC2)
・JST次世代研究者挑戦的プログラム(大学内で募集)
・産総研リサーチアシスタント制度
・理研の大学院生リサーチ・アソシエイト
などなど,様々な雇用制度・支援制度があります.
自分に合った雇用制度や支援制度を活用し,皆さんが快適な研究生活が送れることを祈っています!!
まとめ
・宇宙研には大学院生を対象としたRA制度がある
・宇宙研に受け入れられている大学院生で,研究指導を受けている人が応募できる
・RAは現在2種類
・期限や書類の不備に気を付けよう
・宇宙研RA以外にも大学院生を対象とした雇用制度や支援制度がある.自分に合ったものを活用しよう
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